見出し画像

70歳の現役プログラマーはNYのホステルに泊まる。#WORKINGFOREVER 02

<前回までのあらすじ>
当時19歳だった私はアメリカ留学の真っ最中。留学生生活に頭打ちをくらい、思い切って殻を破りにNew York Cityへ一人旅に行きました。偶然宿泊が決まったホステルで当時70歳のLucy という女性と出会ったのですが、彼女は現役プログラマーで、Macとスマホを携えて軽々とアメリカ中を転々とする、Working Forever なライフスタイル を体現している女性でした。

https://note.com/working_forever/n/n59579e35c8e9

――――

「私、残りの人生、したいことをするって決めたの。そしたら仕事がしたいって思ったの。

ホステルですっかり意気投合したことをきっかけに、後日改めて彼女の家に訪問する機会がありました。実際に訪れてみると、居心地の良さとぬくもりがある素敵なお家でした。家は3階建てで1階は現地の学生に部屋を貸し、Lucy は2階と3階で生活をしていました。1階~3階の階段の壁にはたくさんの油絵が飾られており、2階の書斎には数えきれないほどの本が並んでいて、彼女の文化に対する姿勢や意識の高さが感じられました。
圧倒されていると

「この絵は全部息子が描いたのよ。本は私の知識収集の為に買っていたらこんなに多くなってしまったわ。びっくりしたでしょう。」

と、笑いながら話しかけてきました。

「Lucyは努力家なのね。息子さんも才能に満ち溢れていて素敵ね。」

私が言うとぽつり、ぽつりと彼女は話始めました。

「息子はね、幼いころから精神疾患があって。成人した今もパートナーに支えてもらいながらも入退院したり、薬は手放せないの。でも絵を描かせたらすごい才能があるのよ。普通だったら親は子どもよりも早く死んでしまうでしょ。そうなったとき、息子がひとりではどうしようもできない、っていう状態を避けるために今のうちからあえて距離を少しとるようにしているの。絵を買って、家に飾るのは遠くからできる私なりの貢献の1つね。

私ね、5年前の65歳で離婚してるの。40年も連れ添った旦那よ。情もあったし、ショックだった。だから決めたの。残りの人生、周りにいてくれる家族や友人を大切にするのはもちろんだけど、自分の為にも言い訳せずにやりたいことをやろうって。周りがなんと言えど、残りの人生、しっかり自分で舵を切ろうって。そう思ったら仕事がしたいって思ったの。自分の経験や知識を社会に還元したいし、知らないアメリカ中の地域を回ってこの目で確かめたいって思ったの。

私はなんて声を掛けたらよいかわからず、ただただLucy の目を見つめていました。

「Anyway, I am happy. I am proud of my life.」(人生いろいろあったけれど、今私は幸せよ。私は私の人生に対してとても誇りを持っているわ。)

彼女は笑顔で私の頭に手を乗せてポンポンってしてくれました。

会ってたったの2回目。英語もそこまで流暢に話せない私に対して腹を割って話してくれたLucy。彼女の歩んできた人生をもって紡がれた言葉を私は大切に心に仕舞っておこうと思いました。

生きていく上で数々の酸いも甘いも経験している彼女にとって「仕事」はそれでも欠かせないものだったようです。だからこそ仕事1つひとつに向き合うときは真剣そのもの。どこまでも自分の人生に対して前向きで、仕事に対してはプロフェッショナルな彼女の姿勢に感銘を受けました。

――――
<執筆を終えて>
困難があっても、苦しくても、自分の人生に対して妥協しないで能動的に動いている彼女の姿勢は今でも私の胸に焼き付いています。
WORKING FOREVERコラム第1弾、いかがでしたでしょうか?(もはや経験シェアになってしまいましたが。。。)

今後も様々な切り口からコラム執筆をしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします!テーマリクエスト/質問/感想も募集しております!
お気軽にこちらからどうぞ~!

前回のコラムはこちらから!
https://note.com/working_forever/n/n59579e35c8e9

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?