モブワーク

モブワークとはワーク・ゲーミフィケーションの一種であり、モブプログラミングを一般化した「仕事の仕方」です。


(前提)

ワーク・ゲーミフィケーションについては解説しません。以下記事を読んでください。

また、モブワークはペアワークの派生系であり、本記事でもペアワークについて知っていることを前提として話を進めますので、知らない方は以下を読んでください。


モブワークとは

基本的にペアワークと同じで、ナビゲーターが1人ではなくn人になったものです。

目的やメリットも同じで、レビュアーというボトルネックを解消することです。n人全員で1つのタスクに専念して、ぶっつけ本番で終わらせてしまいます。

本番なので、あとで別途レビューするといったことはしません。一回限りの本番を積み重ねていきます。


ペアワークとの違い


本番試合(プレイ)の概念があること

モブワークでは、プレイ(Play)という単位で仕事を進めます。

プレイとは、

  • 10分~100分くらいで、

  • 休憩がなく、

  • 全員が1つのタスクに専念する

というもので、いわば一試合分に相当します。プレイは常に本番であり、いわばモブワークを行うチームは、本番の試合を戦い続けるアスリートチームのようなものです。


強くファシリテーションすること

ペアワークでは、お互いにとって最良の過ごし方(無理や無茶をせずに質を求める)を模索すればよく、労働時間や休憩タイミングの融通は利かせやすいものでした。モブワークは違います

n人全員で1つのタスクに専念するという性質上、全員の心地を求めるのは不可能です。プレイとしてこうやるんだ、と決めたら、我慢してでも食らいつかねばなりません。

もちろんチーム内でベストな塩梅を模索するべきですし、変更も可能ですが、それでもペアワークほど融通は利か無いことが多く、強いファシリテーションはおそらく必要です。もし、どうしても馴染めないメンバーがいたら、その人は追放してください

モブワークではプレイ中の専念が Must です。


ストラテジー(ドライバー戦略)の概念があること

モブワークではチームn人中、ドライバー1人、ナビゲーターn-1人で望みます。プレイ中に誰がどれだけドライバーを担当するかはストラテジー次第です。

ストラテジーとは、ドライバーをどのように運用するかという戦略を指します。


仮に1プレイ60分、チーム4人だとして、ストラテジーの例を挙げます。

  • ローテーション作戦

    • ドライバーを15分ずつ担当する

    • 60分/4人 = 15分、全員均等に回るようにする

  • フリー作戦

    • 最初はランダムにドライバーを決めて始める

    • ドライバーの変更タイミングは、以下のいずれか

      • 1: 現在のドライバーが誰かを指名する

      • 2: ナビゲーターが「やりたい」と希望する

    • いずれにせよ両者が合意したら成立、変更する

      • 成立しなかった場合は変更はしない

      • が、いつでも指名や希望はできる

  • サドン作戦

    • ランダムなタイミングで、ランダムなメンバーを提示するプログラムをつくっておく

    • プレイ中はこのプログラムに従う

      • つまりプレイ中、突然ドライバーの入れ替わりが発生する

    • 細かい挙動は適宜カスタマイズする

      • 例: 20分間隔で発動させる、連続して同じ人を提示させない

この例を見てもわかるとおり、またモブワークでも述べているとおり、メンバー全員は対等な実力を持つはずですので、ドライバーの選出もランダム性が高くなります。

逆に、このタスクは🐶さんと🐱さんが詳しいから主にこの二人をドライバーにしよう、といった偏りは望ましくありません。

※一方、緊急度の高いタスクの場合はガッチガチに偏らせることもあります。ずっと同じ人(たとえば最も手が早い人)がドライバーになることもあります。


ストラテジーは、事前につくっておけば使い分けることができます。

「ローテで行くか」「サドンでやろう」といったように、共通言語化して語れるとコミュニケーションがスムーズです。


タスクを終わらせる意識が強いこと

ペアワークは二人だけで、量よりも質を求めるもので、ということもあってある意味じっくり行うこともできますが、モブワークは違います。

会議が時間中に何とか決定・進展させたいのと同様、モブワークもプレイが終わるまでに「きりのいいところまで」進めます。進めることを強く目指します

理由はいくつかあって、

  • n人の場合、じっくり取り組むと収拾がつかなくなるから

  • n人いるので、たいていのことはすぐに解決する or 意思決定できるはずだから

  • プレイは相当疲れるものであり、きりのいいところまで負われないと精神的に参るから

などです。


この「プレイごとにきりのいいところまで進められる」塩梅をモブワーク・リズムと呼びます。

モブワークの定着は、このリズムを手に入れられるかどうかにかかっています。それくらいに重要です。

別の言い方をすると、リズムを得られるようにプレイの中身(タスクとプレイ時間とストラテジー)を調整していってください。



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