NDフィルターはいる?いらない?【ミラーレス一眼カメラでの動画撮影】
ミラーレス一眼カメラで映像を撮る場合、NDフィルターはいるのかいらないのか?その辺りをシンプルにお伝えします。
NDフィルターはなくてもなんとかなる
結論からお伝えしますと、なくてもなんとかなる。という感じです。NDフィルターを使うケースは、屋外で十分以上な明るさがある時だと思います。ミラーレス一眼カメラの場合、F値をF8~F15あたりまで落とし、シャッタースピードを1/100~1/125あたりまであげてしまえば、とりあえずはなんとかなると思います。ボケがいらない場合や、とりあえずきれいに映っていればよしという場合はこれでOKです。
補足
NDフィルターは屋外の撮影で十分するぎるほどの明るさがある場合、光の量を下げたい時に使います。屋外でもF値を下げて、ボケの演出を入れたい場合、そして、被写界深度を浅く撮りたい場合は、NDフィルターを使って光量を調整してください。少し話がそれますが、家庭用ビデオカメラや業務用ビデオカメラ(カムコーダー)のF値(アイリス)は使えてF8くらいまでで、その辺りにまでくると劇的に解像度が落ちます。F10を超えるとすぐにクローズ(ブラックアウト)してしまいますので、ビデオカメラではNDフィルターが必須となります。ただ、ビデオカメラの場合、家庭用・業務用、共にNDフィルターが内臓されていますので、必要であれば入れるだけです。※家庭用はオートで入ります。
NDフィルター使用時における実際の設定や使い方
動画をマニュアルで撮影をする場合の基本のF値(アイリス)はF5.6です。ミラーレス一眼カメラ、家庭用ビデオカメラ、業務用ビデオカメラ(カムコーダー)の全てに共通します。なぜF5.6なのかはひとまずおいておいて下記に実際に撮影する場合の手順を記載します。
実際にNDフィルターを使う場合とその目安の数値
明るさの調整はちょうどよい明るさにした時にF値がF5.6になっているか、またはF5.6にした時にちょうどよい明るさになっているかをみます。適正であればそのまま使用してください。適正でない場合で明るすぎる場合(※暗い場合は別記事に記載します。)つまり、屋外で天気がいい時にNDフィルターを使用します。例外はありますが、基本的にに屋内ではNDフィルターを使いません。ちなみにSS(シャッタースピード)は1/50~1/120です。私の場合、動きの速いものを撮る場合は1/100、あまり動きのない場合は1/60にしています。NDフィルターは主に5枚です。1/4(1step)、1/8(2step)、1/16(3step)、1/32(4step)、1/64(5step)を使用します。このいずれかを選んでちょうどよい明るさの時にF値がF5.6になるようにします。
天候でNDフィルターを使う・選ぶ目安
カメラにもよりますがNDフィルターで主に使うのは1/8(2step)、1/16(3step)、1/32(4step)の3枚です。目安の天候としては屋外で曇り空1/8(2step)、天気がよく晴れている時1/16(3step)、天気がよく日差しが強い時1/32(4step)を使います。ちなみに1/4(1step)は微調整、1/64(5step)は雪原で天気がいい時(上からも光、雪に反射して下からも光がある時)などで使います。
実際に購入する場合。可変型と固定型、そのメリットとデメリット
ミラーレス一眼カメラの場合、NDフィルターは別途購入します。ビデオカメラ・カムコーダーの場合は本体に内臓していますので購入する必要はありません。※FX30・FX3等の内臓されていないカムコーダーもあります。基本的にNDフィルターには可変型・バリアブルといわれる一枚のフィルターで濃度を可変できるものと、1/4(1step)、1/8(2step)、1/16(3step)、1/32(4step)、1/64(5step)でそれぞれ一枚一枚に濃度が固定されているものの2種類があります。可変型の場合1/8くらいから1/400くらまでできるものもあって便利に使え、値段設定も幅広いですが比較的低い金額で購入することができます。ただし、Xムラなどとと呼ばれる色ムラが「出ます」という表現に近いくらいでてしまいます。1/400など幅広いものだと顕著にでる傾向があるようです。ムラの強弱は各フィルターによって違うのですが、この辺りを許容できるかが判断材料になるかと思います。1/32くらいまでのものであれば、かなりムラのないものやほぼないものもあります。一方、固定型はそういったムラはありませんが、濃度の違うものをいちいち取り替えなくてはいけません。微調整したい場合やREC中に変えたい場合、時間があまりない場合などでは不利になります。撮影中にフィルターをいちいち付け替えるのは思った以上に手間がストレスがかかります。時間的な問題、埃がついてしまうリスク(ついたらとらないといけないし、気づかないままだと黒点が映像に残る)や、落としてしまうリスク、撮影の流れを止めてしまうリスクなどがあります。
おすすめのNDフィルター
おすすめは1/32まである可変型です。私はNisi製の5stepのものを使っているのですが、色ムラもでませんし色変化も気になる感じはありません。
NDフィルターを購入する時のサイズ(レンズ径)
実際にNDフィルターを購入する時にちょっと考えてしまうのはレンズ径かと思います。これに関しては持っているレンズ、またはこれから購入する予定の中で最も大きな径に合わせるのがベストです。ステップアップ・ダウンリング(径の大小を変えることのできるアタッチメントリング)をつけた場合、大きな径のNDフィルターであれば小さい径でも使えますが、小さい径のNDフィルターですと大きなレンズ径では使えないからです。ですので値段は高くなってしまいますが大きな径のNDフィルターを購入し、ステップダウンリングで他のレンズに使いまわしていくのが賢い使い方になります。
なぜNDフィルターを使う目安としてF値の基準があるのか
上記はでは必要になるシチュエーションと設定値、そして導入するまでの過程をまずは解説させていただきました。こからは少し掘り下げた。より詳細な「解説を行いたいと思います。上記でF値の基準はF5.6で考えるといいとしましたが、その理由をここでは解説します。F5.6はそもそも撮影する時のニュートラルなF値と考えてください。上げ幅、下げ幅ともに十分に確保できています。(F2.8~F15くらいまでのレンズを想定)かつ多くのレンズで解像度の一番いいところになっている場合が多いです。また被写界深度(ボケの量)もちょうどいいかと思います。業務用ビデオカメラ(カムコーダー)のレンズはF値がF10くらいまでしかないので、まさにニュートラルな位置となります。ミラーレスカメラのレンズはF20くらいまであったりもするので(解像度は落ちていきますが)少し余裕があります。つまり明るくしたい、暗くしたいといった時、すぐに手元だけで調整することができます。
天候以外でNDフィルターを使うシチュエーション
ただし、被写界深度を浅く設定したい、逆に深く設定したい時など特別な条件がある時は話は別となります。被写界深度を浅くしたいとはフォーカスがあっている部分を少なくして、ボケの部分を深くしたいということです。つまり実際にはF値を下げるという操作になります。こうなると光の量を多く取り込む状態になりますので白とびして明るくなりすぎるという現象がおきます。具体的なシチュエーションですと、屋外で天候は晴れ。日差しが強い時にF1.2~F2.8などに合わせて場合です。こういう条件で必要になるのがNDフィルターです。NDフィルターの濃度を濃いもの、1/32(4step)、1/64(5step)あたりが選択肢になってくるかと思います。業務用ビデオカメラ(カムコーダー)はNDフィルターが内臓されています。初期設定にもよりますが1が室内、2が曇り、3が屋外といった感じになっているかと思います。
カムコーダーのNDフィルター
業務用ビデオカメラ(カムコーダー)にはNDフィルターが内臓されています。ちなみにここでいうカムコーダーとはソニー製のZ280やZ190といたZシリーズやNX3やNX5Rといったものになります。ちなみにFX3やFX30もカムコーダーと呼ばれていますがNDフィルターは内臓されていません。話を戻しますとカムコーダーの場合は手動で切り替えるだけですので、非常に簡単に替えることができます。ミラーレス一眼カメラなどはレンズをくるくるとまわしたり、つけたりしないといけませんからすぐに切り替えることはできません。カムコーダーはTVの報道用などが主な役割ですので、すぐに録画できるように設計されているかと思われます。
結論
NDフィルターはいるのか、いらないのか。この記事の冒頭ではなくてもなんとかなるということを書かせていただきましたが、正確にいいますと業務の場合や狙った意図があるのであればNDフィルターは必須ということになります。映像は様々な条件下での撮影やアクシデントがつきものですから、しっかりとした準備が必要です。また、NDフィルターだけで決めるものでもありませんが、ドキュメンタリーや記録映像などで、撮影対象が待ってくれない、屋外・屋内の出入りの可能性がある、つまりNDフィルターを取り換えている時間がない時の撮影はミラーレス一眼カメラよりもカムコーダーが適切な選択肢であるといえます。
補足① FX3、a7sⅲのNDフィルター運用
FX3、a7sⅲについては少し特殊な運用となります。ダイナミックレンジが一番広いISO800とISO12800という設定があり、両設定ともノイズがほぼ目立たないという特徴があります。ですのでこの両機種ではこのどちらかのISO設定がメインでの運用となります。この場合、F5.6というよりもISOが基準になりますのでISOに合わせて明るさを決めることとなります。つまりどういことかといいますと屋内でも明るすぎる場合がでてきますので、こういった時はNDフィルターを使用して明るさを調整することとなります。つまり、FX3とa7sⅲ、またはZV-E1をメインとする場合はNDフィルターは持っていた方がいいということになります。
補足② ドローンのNDフィルター
上記の条件でいうとドローンにもNDフィルターが必須となります。ただ、なくても撮れると思いますが、適正なF値とSS(シャッタースピード)に合わせて撮る場合は用意しておくべきでしょう。ドローンは撮影日時や天候、許可、人の映り込みなど思った以上に時間やバッテリーなど撮影条件がシビアになります。こういった限られた時間内に撮影しなければいけない、または失敗できない時は失敗のリスクを下げるために適正なF値とSS(シャッタースピード)、そしてNDフィルターできれいで・失敗のない撮影設定を整えることが大切です。
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