20時からのバカンス

やっぱり今日も20時になった。ドアがけたたましく開けられる、続いて男のがなり声が聞こえる。「酒だ!まだ飲むぞ!」

やや静かになったのをみると椅子に座り込んだようだ。女の「もうやめときなさいよ。」と諌めるような声が聞こえる。いつも通り。

呻き声と共にテーブルの上の食器が割れる、微かな悲鳴。結局従うしかないのだ。僕の後ろでは女の子が泣き出したらしく、背中に温かいものを感じる。お腹に回された手はぎゅっと握りしめられていた。

何も変わらない日常。弱い僕たちはただ隅の方でやり過ごすくらいしかないと思ってた。

【続く】

#逆噴射プラクティス

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