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2017年12月 国立能楽堂「宗八」

2017年に国立能楽堂で上演された狂言の公演について、facebookに書いたものをこちらに移転しました。新作狂言「鮎」とともに上演された「鵜飼」「宗八」の感想です。

↓ 以下、古い記事です(前半は「鮎」に書きました)

萬斎さんの小舞「鵜飼」。同時上演が「鮎」だから選ばれたのでしょうか。そして「宗八」はお魚つながり? 選曲だけでクスっと笑えます。

さて「鵜飼」。萬斎さんの爽快な手さばき足さばき、軽やかな扇の動きが麗しく、小舞とはいえ一つの物語として味わえる作品として昇華されていて、今日のお舞台は本当に特別なのだと実感しました。

万作先生の「宗八」は至芸としか言いようのない楽しさ。あるお金持ちが、料理人とお坊さんを召しかかえようとします。そこに名乗りを上げたお坊さんは元料理人。「たくさん殺生したし、塩加減がどうこう言われるのが嫌になった。坊主になれば仏前の掃除くらいしていればのんびり暮らせるだろう」というわけです。

かたや、料理人にエントリーした宗八は、予想通りに元お坊さん。「仏に仕えるつもりで出家したのに、檀家づきあいやら何やらが煩わしい。寺では牛蒡や大根くらい刻んだことがあるから、料理人にならなれるだろう」

晴れてお金持ちに雇われた二人、主人に留守中のご用を言いつけられます。
「坊主はこのお経を高らかに読むように。宗八は鮒をなますに、鯛を背切りにしておけ」にわか坊主は一文字も経が読めぬ、宗八は魚なんぞ生臭くてかなわん。で、お互いに相手の仕事を肩代わりするから、代わりにあなたの技を教えてくださいということに。

元料理人が、宗八の物覚えの悪さに辟易したり、宗八が得意になってお経をあげたりと楽しくやっているうちにご主人が帰ってきて、自分の仕事ができないことがバレちゃいます。「ごめん!」と謝る姿があっけらかんとしていて、のどかでとてもいい。

小道具のお魚、本ではよく見ますが現物を初めて見られて嬉しかったです。
お寿司でいったら特上クラスの公演でした!

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