ことばの発達マガジン Vol.1:ことばが遅い?

・まだことばを話さない
・ことばが増えない
・こちらの言うことを理解していないようだ
・発音が気になる
・やりとりができない

ことばの発達について、このような相談が多く寄せられます。ことばの発達は個人差が大きく、乳幼児健診などで相談しても様子をみましょうと言われることがよくあります。遅れているのか、そのうち追いつくのか、ただ様子を見ていてもよいのか、心配しながら過ごしている親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

ことばの遅れは、ことばの理解や表出が、子どもの生活年齢で期待される水準まで発達していない場合に遅れを疑います。ことばの発達に統一された明確な基準はありませんが、以下のようなデータがあります。

例えば、意味のある初めての単語(初語)は、9ヶ月ごろに25%、12ヶ月ごろに50%、15ヶ月ごろに75%、17ヶ月ごろに90%の子どもが話し始めます。このようなデータと照らし合わせ、その他の要因を考慮しながら発達がゆっくりかどうかを検討していきます。

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データから、ことばの発達は個人差が大きいことが改めてわかります。しばらく様子を見ているうちにどんどん話すようになったというケースも多く見受けられます。しかし、近年このように発達が追いつき何の問題もないように見えるケース中に、文法操作や学習面での困難さを抱えるお子さんが一定数いることが報告されています。また、ことばの遅れをきっかけに何らかの障害が明らかになる場合もあります。

ことばは様々な要因に支えられ発達します。言語聴覚士は、それらの要因を考慮しながらお子さんのことばの発達段階や遅れの程度を評価し、直接ことばの練習をするだけでなく、声掛けや関わり方のポイント、家庭でできる練習などを親御さんに提案しています。個人差の範囲と考えられ様子を見ることになったケースでも、ことばの発達を促すポイントをお伝えするなど家庭での関わり方を支援するとともに、定期的にことばの発達段階を確認し必要に応じて専門の医療機関や療育機関への受診を勧めています。

ことばの発達に少しでも心配なことがあれば、ぜひお気軽に言語聴覚士に相談してください。一緒にお子さんのことばの発達について考えていきましょう。

参考文献
石田宏代,大石啓子編集:言語聴覚士のための言語発達障害学.医歯薬出版,2012.
Rescorla L : Late talkers : do good predictors of outcome exist? Dev Disabil Res Rev 2011 ; 17 : 141―50.


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