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棒針編み・アメリカ式の分析

編み物好きな方、棒針でどうやって編んでいるのか、考えたことはありますか? つまり、編んでいく糸を、手のどの部分でテンションをかけているのか、針 (または指) をどう動かして糸を絡めているのか、糸を絡めた後、手のどの部分を使って絡めた目を右の針の中に収めるのか、等々。。

いつもフランス式で編んでる方は、それほど苦もなくknit (表編み)ができていると思います。なので、そういう状況だと、上で書いたような編み方の分析はしたことがない、と思われます。(やったことがある方、ごめんなさい。)

ちなみに、フランス式編み方は、英語だと "Continental Knitting" といい、French という単語は出てきません。"Continental"は、ヨーロッパ大陸を指すのだと思います。

アメリカ式は "Throwing" もしくは "English Knitting"です。この方式は、英語で"American"とは言われません。では、なぜ日本人はアメリカ式と言うかですが、多分、戦後、アメリカに占領された当時に、日本に入ってきたためではないか、と思われます。アメリカは、もともとイギリス人が入ってきたことでできた国ですから。

日本にこの2つの方式が入ってきた歴史を調べたら、おもしろそうです。最近知ったのですが、日本でよく編まれているフランス式は、意外とRussian Knitting (Eastern Knitting)の影響もあるようです。

2つの方式の違いを知るため、先にフランス式の分析をします。
(すみません、編み方は文字だけで説明します。絵が強烈に苦手で描けないのと、冬の私の指は最悪な状態で、お見せしたくないためです。フランス式は、どなたもおわかりになるかと思うので、ご勘弁。)


1. フランス式・表編みの編み方(Cast Onは事前にしてある状態から)

  1. 糸の掛け方:人によって糸をかける指が違うと思うので、私の場合をいいます。小指・薬指の間の下から糸を上に出し、薬指の上に這わせ、中指の下を通って、人差し指の上に出し、そのまま人差し指が帆立の心棒のようになって、左の針元に渡ります。この人差し指から針元に渡る糸に、テンションをかけます。(私の場合、薬指と中指の間に余分に糸をかけないと、上手くテンションがかけられません。やらなくていい人もいます。)

  2. 左針の持ち方:左の針は、左手に糸をかけたまま、中指と親指で持ちます。

  3. 右針の持ち方:右手に右針を持ちますが、親指と人差し指で軽く持ち、他の指は軽く曲げて親指・人差し指の下の方を軽く支えます。

  4. 編み方:右の針を、左の針にある一番右の目の前側下から後ろに向かって挿し、左人差し指によってテンションがかけられている糸を、逆時計回りに右針先を振り動かして引っ掛け、目の後ろから前に引きずり出します。引きずり出したら、その糸を左の針から滑り出させます。そうすると、目が右の針の中に収まります。二目めも、同じことをします。この繰り返しです。

2. フランス式、手の動きの分析

  1. 糸のテンションは、全般的に左手に委ねられている。テンションをかけている箇所は、(私の場合)左手小指と薬指の間と、人差し指の2箇所。

  2. 糸の供給も左手の親指による。

  3. 右手は、針で糸を引っ掛けて左針から出すだけの、簡単モーション。

実にシンプル!
だからみんな、フランス式なんですよね。。
でも、多分、Russian Knitting (Eastern Knitting) を知ったら、こっちのがいい、と言うと思います。Russian(Eastern)の方が、目に針を入れるのが簡単なんです。フランス式は、実は右半分の目が前にかかっていて、目の穴が右に向かって開いていないので、右針を目・左側の逆方向から無理やり入れるようになってるから。(Russian Knittingの詳細は、こちらにあります。)


3. アメリカ式・表編みの編み方(事前にCast Onしてある状態から)

以下、あくまでも私の場合です。アメリカ式は、人によって実に様々な編み方(糸の指への掛け方、糸の右針への引っ掛け方において)をしているので、全ての人の分析は不可能のため。

  1. 糸の掛け方:私の場合、右手も左手と同様な糸の掛け方をします。違うのは、右か左かの違いだけです。

  2. 針の持ち方:Throwing の時---> 右手は、中指と親指で右針の上を軽く持ち、他の指は軽く曲げて針の下の方をサポートします。左手に関しては、右針を左針の一番右の目に入れた状態で十字を作り、左手の親指・人差し指でそこを支えます。[ Flicking(右針中央を右手親指でパチンと弾く方法)はまた別です。Flickingもできますが、最近は Throwingでやっています。]

  3. 編み方:Throwingの時 ---> 右手を右針から外して、人差し指にかかっている糸を、右針の上から逆時計回りに回しながら、素早く引っ掛ける。引っ掛けたら、また素早く右手を元の右針の位置に戻し、右針に引っ掛けた糸を、左の人差し指と親指の力を借りて、前に引きずり出して右針に移す。二目めも同様に編みます。以降、同じことを繰り返します。

4. アメリカ式編み方の分析(私のThrowing方法)

  1. 『糸にテンションをかける』、『糸を右針に引っ掛ける』、『右針を動かして、糸を左針から右針に収める』。これら全て、右手で行なっている。

  2. 私の場合、左手は、右針を動かす時のサポートと、目を右針に移すサポートもしている。加えて、左指は糸の供給も行なっている。

アメリカ式、複雑だと思いませんか?

右手は色々やらなきゃいけないことがたくさんあって、大変です。ゆっくり編むならまだしも、早く編もうとすると、右手だけでは役不足で、左手のサポートは私にとって不可欠です。少なくとも、私は左手のサポート無しに、アメリカ式はうまく編めません。右手と左手のコミュニケーションが上手くいくと、リズムよく編むことができるようです。

他の方のビデオを沢山見て、あの手の中でどういう動きをしているんだろう?と、何ヶ月もじっと見ていましたが、複雑なモーションの詳細は、なかなかわかりませんでした。大雑把な動きは、針を持たないエアニッティングでは真似できるんですが、糸と針を持つと、同じ動きはどうしてもできません。

できるだけ気負わずに、リズム良く編みたい、というのが私の目標だったので、ありとあらゆる方法を試しました。他の人の真似をして、右手だけに色々やらせてしまったら、指が痛くなって挫折、なんてこともよくありました。

でも、そのおかげで、どの指でテンションをかけるのか、右手は色々あって大変だから、左手のお世話も必要かも、とか、研究しているうちにわかってきました。(左手のサポートを必要としない人も、沢山いると思います。それはそれで信じられない、ですが、、)

失敗はするもんです。失敗は成功のもと、って言われますが、私はそれよりも、失敗してそこから勉強ができる、ことを強調したいです。失敗して、ひとっ飛びに成功するわけじゃないですから。そこから考えて、試してみて、また失敗して、、と、その時間が大事なんだと思います。

ちゃんと、気負わずにリズム良く編める様になるまで、8ヶ月ぐらいかかったかな。

今は、よくやった‼️と、自分を褒めてあげたいです。
なにしろ、何十年と慣れ親しんだフランス式からの変換だったので。

5. アメリカ式を研究してわかったこと

個々の人がそれぞれ別の方法で、その人に合った方法、その人が心地いい方法を見つけて編んでいる、というのが、私の分析の結論です。
この結論が出たところで、私は私の編み方でいいのね、と心が穏やかになりました。あの人みたいになりたい、とか、少しは思いますが、今はもう、自己流で十分!と思うようになりました。要は、きれいに編めるようになれば、それでいいのだ、と。(笑)

アメリカ式に慣れてきた頃、ひとつ、意外なことが起きました。
フランス式の時はやってみようとも思わなかった、顔を上げ、手元を見ずに編むこと、これができるようになったんです。ちょっと嬉しい。テレビを見ながら編めるから。(笑)

ちなみに、他の方がアメリカ式で編む様子のビデオを集めています。
こちらをご覧くださいね。


ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
文章だけでわかりにくかったと思いますが、お許しください。




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