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あの子とその子


鈴を鳴らして歩くその子は、影の中でも明るくかがやいた。ほの暗く炎の燃えるようなかがやきに、小さな命は近寄っていく。

シャリン。シャリン。

リボンに結びつき、揺れると涼しい音色を奏でた。夕暮れを過ぎてハイビスカスのような色をした空に、季節を外れた趣きが付け加えられた。

「ねえ、どうして鈴をつけているの?」
「夜が影をつれてくるからよ。影に飲み込まれないために必要なの。怖いのは嫌だもの」

あの子はその子にたずねてみた。話さなければいけない気がして。

「わたしも影が怖いの。ねえ、ひとつもらってもいい?」
「いいよ。ほら、どうぞ。影がやってきたら、急いで鈴を鳴らしてね。鈴に影はないから、あいつらぜったい追いつけないもの」

あの子はその子から鈴を受け取ると、髪留めを腕輪にして鈴をくくりつけた。

シャリン。シャリン。

あの子が鈴を鳴らすと、辺りがぼんやりと明るくなった。その端に目を凝らしてみると、確かに影が伸ばした腕を引き戻していた。


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