あの少年に憧れて
彼の靴はいつも右足の底が削れ過ぎていた。それを見たものは、彼の服と顔つきを見ればすぐにあるものと結びつける。
「やってのける男にあえて名誉に思う」
「どうして危ないことをするの?」
彼のことを口にするとき、みなそれぞれの言葉を口にした。
「憧れていたんです。それで、わたしは彼のまねごとをした。それで少し太ももをやあけどしてしまったけれど、それでもわたしにとっては本望なのです」
その言葉には期待とあきれが寄せられた。その無意味な冠に人々は目を向けざるを得なかった。
ただ、彼は憧れとともに、いずれ加齢によって自分が凸助になってしまうのではないかと、生え際をみるたびに思った。
ご清覧ありがとうございました。
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