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その目の届く先

パッ

と目と口をひらけば、人は大体驚いた。それはまるで茹で上げられた貝が口を開くようで、子供から大人まで、下手をすれば腰を抜かしてしまうほど、突然それははじまった。

示し合わせたかのように、輸入していようが国内産であろうが開いた。
彼らは場所を選んでいるようで、スーパーで熟練の目利きを利かせているときにそれは行われる。

「現在、原因は調査中です。公的な情報が開示され次第、放送いたします。また、検査の結果、食用として問題ないとのことです」

いつまでも進まない調査に、食傷気味の言葉を並べてメディアは色づく。

「冷凍技術の向上だよ。ほら、証拠はこの動画。解凍して水槽に放った魚が泳ぎ始めた」

「情報通の友達から聞きましたが、これは魂が未だ現世に留まっているせいだとか。界隈では有名らしいですよ」

あちらこちらと好き勝手な言葉が行き交い、いずれ人は驚かなくなった。少しずつ解明される情報に目を輝かせる人々は日に日に減り、いつの間にか公的機関も異常なしと判を下す。

パッ

うつろな瞳は、宙を眺める。
そのとき、スーパーの一角は知られず果てと繋がるのだった。

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