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このMVがすごい!第1回 『素敵なしゅうまつを!』『絶頂讃歌』『ダーウィン』『カメレオン』『硝子窓』

筆者は音楽を聴くのが好きだが、「ミュージックビデオ」という種類の映像作品が特に好きだ。短い時間の中に詰め込まれたアイデアや世界観、独創的な表現をぶつけられる事に興奮する。
そんな筆者がふと紹介したくなった、一度はご覧いただきたいミュージックビデオの数々を法則性なしに紹介していく。

直近で個別に紹介した『アガリ症』『㋰責任集合体』『ふぁんぶる!』『チープなプロパティ』『痛いの痛いの飛んでいけ』などについては今回は選考しないため上記リンクよりご一読いただけると幸いだ。

まず最初に紹介するのはこちら

素敵なしゅうまつを! / キタニタツヤ

サムネイルからとてもMVとは思えない異質な雰囲気を放つこの作品は『青のすみか』『悪魔の踊り方』『スカー』などで知られるキタニタツヤ氏のYouTubeチャンネルにて2023/08/26に公開された。

映像製作チームは

プロデューサー・演出:大森時生(テレビ東京)
撮影・演出: 寺内 康太郎
構成: 梨
編集: 遠藤 香代子
制作: 古賀 奏一郎

というメンバーである。

大森氏は未だ20代にして同年同月、「FORBES JAPAN 30 UNDER 30 2023 日本発「世界を変える30歳未満」120人」に選出された実力者。
筆者も好きな番組であるフェイクドキュメンタリー『山田孝之の東京北区赤羽』に影響を受けたと語る彼は今回MV制作に関わるのが初となる。

寺内氏は『ほんとうにあった!』シリーズの人、といえば話が早いだろうか。

梨氏は名前からして浮いているが、筆者も愛するWebサイト「オモコロ」の株式会社バーグハンバーグバーグが主催する「オモコロ杯 2021」にて銀賞を獲得し、以降も「オモコロ」に記事を投稿していることで有名なホラー作家だ。

遠藤氏、古賀氏においてもいわゆる「B級ホラー」に携わるプロである。
つまりこのMVはフェイクドキュメンタリー×B級ホラーというジャンルに当て嵌まるかもしれない。強いて言えばだが。

一言で言えば「恐怖の白昼夢」だ。と筆者は表現したい。いわゆる映画『ミッドサマー』のように「明るいのにじわじわ恐ろしい」映像となっている。


以降はネタバレを含むため、まずは映像を観てほしい。


うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああしゅうまつがやってくる!!!!


キタニタツヤ氏が元々ボカロPだったことも相まって、筆者はこの曲を思い出した。週末という言葉の裏に終末を匂わせるという歌詞と、この『素敵なしゅうまつを!』のMVはこれ以上なくマッチしている。

世界の終末なんて大きなものではない。どこかで息を潜めている悪意が日常にやってきて、身近な〝終わり〟が前触れもなく肩を叩く。
あの巨大な鉄の蛇にぶつかれば人生を終えられてしまう。
かつては人生で一度も希死念慮を感じたことがなく、意味がわからなかった筆者も、実のところ自ら命を絶ってしまおうかと頭をよぎる経験をしたことがある。
キッカケがあれば、人間は簡単に自分を諦められてしまうのだ。

このMVでもずっと笑顔の絶えなかった幸せな家庭を映すホームビデオが流れ続ける。だが突然一家全員(子供以外)が自らの命を絶ち始めるのだ。

いきなりゾッとするMVの紹介からになってしまったが、YouTubeでチャットのリプレイを観ながら2周目の鑑賞をするとなかなかに初見の視聴者の反応が面白いのでオススメしたい。

続いてはこちら

絶頂讃歌/和ぬか

踊る女の子が可愛い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
この子が好みすぎて2022/9/7公開以降、ずっと恋している。

映像はまりやす氏。

言いたいことはそれだけである。続いてはこちら。

ダーウィン / TOOBOE

異形頭大好き!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
そんな筆者みたいな方にオススメしたい。2021/12/1ともう随分前の楽曲になるが、曲も映像も非常に好みである。こういうMVもっと増えてほしい。

映像はいがきち氏制作。

こちらの『ずっ恋』のMVも非常に楽しいため必見だ。

そして最後はこちら

King Gnu - カメレオン&硝子窓

フジテレビ系月9ドラマ『ミステリと言う勿れ』主題歌である『カメレオン』およびその後劇場公開された同タイトルの映画主題歌である『硝子窓』のMVは物語が繋がっていることで有名だ。

映像制作はOSRIN氏。

『硝子窓』公開時にOSRIN氏は

人生で初めて物語の続きを作りました
こんなに嬉しいものなんですね
優しい三人だけの世界は柔らかく
温かく居心地が良かったです

と述べている。
(音楽ナタリー様より引用 https://natalie.mu/music/news/546667

King GnuのMVを数々手掛けており、あのバンドの独特の世界観を構築・確率していった要因の一つであり、その功績は間違いなくOSRIN氏にもあるだろう。
彼の作品の特徴を一言で言うならば「キモかわいい」だ。

不気味なのに愛らしく、この『カメレオン』『硝子窓』の楽曲の持つ「切なさ」を見事に演出している。
筆者は現在YouTubeでゲーム『NieR:Automata』の配信を不定期に行っているのだが、たぶんニーアが好きな人はみんな好きなんじゃない?と思う雰囲気のMVだ。

それから筆者はティム・バートンの作品が好きなのだが、彼の作る『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス(1993年)』が好みだという方にもオススメしたい。

様々な魅力的なキャラクターが登場するが、『硝子窓』のサムネイルにもなっているクマのぬいぐるみのようなタクシー運転手がスーパーウルトラ魅力的でお気に入りである。かなり好きなデザインと性格をしているが絶妙に家に飾りたくない。

とにかくキャラクター、小物、建物……映像に映る全てのデザインが〝天才〟である。奇妙さとカッコよさ、汚さと綺麗さ、怖さと愛おしさ、このバランス感覚が非常に優れており、それでいて独創的なのだ。どこかで見たことがありそうで無い。懐かしいのに新鮮。
その発想力に唸るシーンがあなたにも必ず一つ見つかるだろう。

このMVがもし映画になったとしたら筆者は観に行ってしまうかもしれない。音楽映像だからこそのこれだけの魅力なのは間違いないのだが、音のない所謂サイレント映画としても見ごたえを感じてしまうパワーがこの映像にはあるのだ。
楽曲とこれ以上ない程噛みあった映像であるのに、映像単体でも成立してしまうって実は結構凄いことだと思う。
是非『カメレオン』→『硝子窓』の順でお楽しみいただきたい。

紹介は以上。好きなMVがまた出てきたその時は発表したい。
発表したい。

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