むかし書いた韓国コラム #33

 韓国の飲食店で時々見かけるナプキン代わりのトイレットペーパーに嫌悪感を持つ日本人は少なくないようだ。ではなぜ韓国人は気にしないのに日本人は気にするのか。仲間同士の飲み会で有力な説が飛び出した。それはずばり「名前」の問題だ。「トイレットペーパー」ではその名前通りなら用途がトイレに限られてしまう。それが食卓にあっては不快だろう。韓国語の場合は「ヒュジ」あるいは「ファジャンジ」で、トイレットペーパーに限らずちり紙一般を指す。トイレでも使うものだが、名前で用途は限定されていないので食卓で使ったとしても抵抗感はない。

 根拠が弱い気もするが、例えばせっけんやタオルに「トイレせっけん」「トイレタオル」と名前が付けられれば、同じせっけんやタオルでもキッチンに置くのにやや抵抗が生じる。「トイレ用洗剤」でキッチン回りを洗う気にはなれないだろう。トイレットペーパーを食卓で抵抗感なく使うためにはイメージを変えるために名前を変更する必要がありそうだ。

【解説】
 トイレットペーパーは使い勝手がいい。ティッシュペーパーを1枚使うのがもったいない程度の汚れをふく時などは少量だけカットできるトイレットペーパーは便利だ。おかげで日本に帰国してからもしばらくは机の上にトイレットペーパーを常備していたし、ティッシュペーパーを使うなんてちょっとした贅沢くらいに思っていた。現代日本での生活に適応したいまは普通にティッシュペーパーを使っている。

(初出:The Daily Korea News 2015年12月1日号 note掲載に当たり解説を加筆しました)

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