むかし書いた韓国コラム #898
南大門にほど近い南大門路4街に古ぼけた2階建ての建物が建っている。数年前から周辺の建物が再開発のため取り壊され、背後には高層ビルが作られた。再開発の波に飲まれこの古い建物もいずれ取り壊されてしまうのだろうと思っていたのだが、このたび文化財として登録される見通しとなった。この建物は1910年代に建てられた2階建ての韓屋で店舗として使われてきた。外壁はれんが造りだが、韓屋式木造家屋構造に屋根は瓦葺きという近代期の韓屋で、現在も内部は原形を残しているという。数年前までは印刷業者や不動産業者がテナントとして使っていたが中に入ったことはなく、原形が残っているというのならぜひとも見てみたいものだ。
現在の所有主は興国生命で、同社は原形に復元した上で観光案内センターとして復活させる計画だ。民間所有の文化財で所有者が自発的に原形に復元し一般に無料開放するのは希有な例という。古建築好きとしては同社の英断に感謝したい。
【解説】
復元前は白塗りの建物だったが、復元により本来のレンガ色の建物になった。近代文化遺産に指定されており、現在は「韓屋カフェ」として営業中だ。写真は韓屋カフェのインスタグラムより拝借。
(初出:The Daily Korea News 2016年3月24日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)
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