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むかし書いた韓国コラム #59

 好き嫌いはなく辛い韓国料理も食べられるという日本から来た友人。でも苦手なものがあるという。冷めんだそうだ。スープ入りの冷めんなら辛くもないしどちらかといえば万人受けしそうなもの。なにが苦手なのかというと、金属の器と箸なのだそうだ。あらかた食べた後に器の底をさらうときに箸と器が擦れる音がどうにも我慢できないという。食べる時に気をつければいい話だと思うが、「自分の音は防げても周りの音は防げない」と主張する。同様の理由で石焼きではなく金属の器に入ったビビンバも避けているとか。日本でも金属製の皿で供されるカレー店には近寄らないようにしているという徹底ぶり。友人は「金属アレルギーだ」と笑う。

 なるほど、そう言われると確かに、冷めんやビビンバは金属が擦れる音がしやすい。これまでは特に気にもしていなかったが、指摘されてからは気になるようになった。どうやら友人の“金属アレルギー”が伝染してしまったようだ。

【解説】
 そう言われてみると金属の器は黒板を爪でひっかくような不快な音がする。せめてお箸が塗り箸であればそこまで嫌な音はしないのかもしれないが、韓国はお箸も金属製なのが普通だ。“金属アレルギー”の人にとってはなんとも悩ましい問題のようだ。

(初出:The Daily Korea News 2015年4月21日号 note掲載に当たり解説を加筆しました)

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