むかし書いた韓国コラム #806

 メール全盛のこの時代、よほどのことがなければ日本の両親に電話をかけることもない。先日所用で電話をかけたのも何年ぶりかのことだ。用件を話し終え、家族の近況や親戚の近況、天気の話までいろいろ世間話をしていたのだが、なんだか受話器の向こうはそわそわと落ち着かないようす。揚げ物でもしているのかと尋ねてみると「国際電話は高いから適当に切り上げなさい」とのこと。

 思い返せば十数年前、海外旅行先からコレクトコールで実家に電話した際に3分で2000円という料金請求がきたことがある。どうもその時から「国際電話=高い」という認識がすり込まれているらしい。いまどきの国際電話は市内通話感覚でかけられると言っても半信半疑。なんだか慌ただしげに通話を終えた。

 電話を切ってから、そういえば両親から電話がかかってきたことは一度もないことに気がついた。今回の一件でその理由がわかった気がする…。

【解説】
 スマホのメッセンジャーアプリを使えば無料で通話できるなんて知ったら卒倒するかもしれない。ちなみに親から電話が来たことがないのは、単に国際電話のかけ方を知らなかっただけなのかもしれないという疑惑もある。

(初出:The Daily Korea News 2009年11月10日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?