むかし書いた韓国コラム #993

 北朝鮮の祖国平和統一委員会報道官は1日に、朴槿恵大統領を呼び捨てにして非難する声明を出した。日本でも「呼び捨て」が強調され報じられた。一方、韓国メディアでは北朝鮮の要人を呼び捨てにするケースが多く見られる。南北対立の激しかった時代は当たり前だったが、最近は正確な肩書きを書くケースも増えている。それでも呼び捨てで書くケースは残っており、大手紙の日本語版サイトでも呼び捨てになっているケースがある。ただ韓国では、外国人については呼び捨てすることは珍しくなく、外国首脳でも平気で「安倍が…」「オバマが…」などと書かれるので、北朝鮮も単に外国人扱いなのかもしれない。

 北朝鮮が韓国の大統領を呼び捨てにしたところで、自分たちも呼び捨てだから文句を言えないのか、呼び捨てについて言及するメディアはない。もっとも、声明の原文を載せているので見ればわかる話ではある。でも本当は「大統領を呼び捨てとはけしからん!」と言いたいのではなかろうか。

【解説】
 日本のメディアでは通常の記事で人名を呼び捨てにすることはまずない。あったとしても(敬称略)などの注釈を入れる。ただし芸能・スポーツ記事における芸能人・スポーツ選手の名前や、歴史上の人物などは呼び捨てにされる。一方、韓国メディアでは呼び捨て、特に外国人の名前でそれが顕著にあらわれる。もし日本の大手メディアが韓国の要人を呼び捨てにしたら「けしからん!」といちゃもんつけてくるのかしら。

(初出:The Daily Korea News 2013年7月2日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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