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むかし書いた韓国コラム #918

 韓国のカレーは黄色いものと相場が決まっていた。だから日本に帰ると真っ先にカレー屋に駆け込んだものだった。ところがこの数年で韓国のカレー事情もだいぶ変わった。日本からいくつものカレーショップが進出しているほか、日本で修行したというマスターがいる個人店も増えている。いまや日本風のカレーは簡単に食べられるメニューになった。

 日本だと黄色いカレーは一定年齢以上の人には郷愁を感じさせる味だ。韓国製の黄色いカレーのレトルトを日本の実家に持っていったところ、両親は「懐かしい味がする」と言っていた。「おいしい」とは一言も言わなかったが。韓国でももう黄色いカレーはあまり見かけない。レトルト食品かのり巻き屋やくらいだろうか。絶滅危惧種に指定されてもおかしくない存在だ。

 そう思うと急に黄色いカレーが懐かしくなった。初めて韓国でカレーを食べたときの衝撃が思い起こされる。これが郷愁というものか。久しぶりにレトルトカレーを買ってみようか。

【解説】
 特においしいとも思わなかったし、日本ならもっとおいしいカレーが食べられるのに…と思っていたが、普通のカレーが普通に食べられるようになるとだんだんありがたみもうすれてきた。日本に引き揚げてきて黄色いカレーを食べるのが容易でなくなったいま、あの黄色いカレーが妙に懐かしく思えてしまうのだ。写真はその黄色いカレー。オトゥギ公式サイトより拝借。

(初出:The Daily Korea News 2012年10月23日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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