むかし書いた韓国コラム #669

 ソウルの焼酎市場は真露が圧倒的なシェアを持っている。そのライバル企業に勤める知人に昼食に誘われた時のこと。自社製品を扱っている飲食店に入ると、食事の注文のほかに焼酎を注文した。「昼から飲むわけにはいかない」と固辞したが、知人は「いいから気にするな」とキャップを開けるとそのまま焼酎には手をつけずに食事を始めた。飲食店では飲む飲まないにかかわらず必ず1本は注文し、キャップを開けることで「消費」するのだという。実に涙ぐましい努力でシェアを維持しているのだ。

 「その割にはお宅の焼酎はあまり見かけないね」と意地悪な質問を投げてみると、答えは簡単。「レモン焼酎ってあるでしょ。ああいう割りものはウチのを使ってるところが多いんだ」とのこと。
 なるほど。割りものの焼酎がどこのブランドかなんて考えたこともなかったが、意外なところでシェアを確保していたようだ。

【解説】
 焼酎をレモンシロップで割ったレモン焼酎は飲みやすさもあり女性客を中心に人気があった。しかし最近ではフルーツ味の焼酎が人気を呼んでおり、昔ながらのレモン焼酎がこれに太刀打ちできているのか気になるところだ。

(初出:The Daily Korea News 2010年4月28日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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