むかし書いた韓国コラム #188
韓国語も日本語と同様に敬語や、いわゆる「ため口」に当たる「パンマル」がある。使い分けに日本語も韓国語も大きな差はないが、シチュエーションによってはパンマルが重大なマナー違反になるケースもある。
ある日のこと。間違い電話がかかってきたので「違います」と丁寧に相手をしていたのだが、同じ人から何度も繰り返しかかってくるのに業を煮やし、「さっきから違うって言ってるだろう。ちゃんと確認しろ、この野郎!」と韓国語で怒鳴りつけた。さすがにもうかかってこないだろうと思ったら、すぐにかかってきた。なんと、「なんでパンマルを使うんですか」という抗議の電話だった。
韓国語のマナーからすれば、怒りの表現とはいえ見ず知らずの相手にパンマルを使ったこちらの間違いらしい。それはそうかもしれないが、自分の間違い電話を棚に上げてパンマルに文句を付けてくるのもいかがなものだろうか…。
【解説】
同様のケースで、何度も繰り返される間違い電話に頭にきて韓国語で最大級の罵倒語を使い「いい加減にしろ、ケーセッキ!」と叫んで切ったらまたかかってきた。電話の相手はしょんぼりとした声で、「いくらなんでもケーセッキはひどすぎるじゃないですか…」という。もっともな言い分かもしれないが、こちらとしても振り上げた拳は下ろせない。「そ、そうかもしれないけど、何度も間違ったのはそっちじゃないか!」とややひるみながらやり返しなんとか解決した。
(初出:The Daily Korea News 2009年10月21日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)
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