むかし書いた韓国コラム #167

 ソウルのタクシー料金値上げの動きとともに「相乗り」の解禁も議論されているようだ。タクシーの相乗りは1982年に禁止されており、復活すれば36年ぶりとなる。ただ法律では禁止されていたが、実際には15年ほど前まで相乗りは普通に存在していた。相乗りで後から乗った客は下車時のメーター額から乗車時のメーター額を差し引いた額を支払う。記録が残らないので運転手は相乗りで得た収入を全額自分の収入にできた。当時は1人でタクシーに乗る時は助手席に座るのが暗黙のルールだった。後部座席に相乗り客を乗せるためだ。

 いつの間にか廃れていた相乗りの習慣。相乗り客と運転手が共謀して凶悪犯罪を起こしたケースなどもあり拒否感を持つ利用者もいるが、タクシーがつかまらない時間帯にはありがたかった。最近はスマホを使った配車サービスも登場しており、相乗り復活に大きなリスクはなさそうだ。「1人で乗る時は助手席へ」という暗黙のルール復活も近いかもしれない。

【解説】
 2000年代初めはまだ相乗りができ、空車ランプが点灯していなくてもタクシーに向け手を上げたもの。タクシーがスピードを下げて近づいてきたら目的地を叫び、方向が合えば乗せてくれるし、合わなければ手を振って走り去ってしまう。同乗客と話が盛り上がったりすることもあったっけ。あの時代がちょっとなつかしい。

(初出:The Daily Korea News 2018年3月2日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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