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むかし書いた韓国コラム #430

 地方の食堂ではパンチャン(おかず)の皿の数が増えるという。それほど地方での経験があるわけではないが、以前全州で名物のビビンバを食べたら確かに皿の数は10個もあった。ビビンバをひとつ頼んだだけでこれだけの皿が出てくると恐縮してしまう。ソウルにも全州の名を掲げるビビンバの店があるが、こちらは小さな皿が3つ並ぶだけで、見劣りするのも事実だ。

 だがしかし、ずらりとならんだ皿も半分以上は日本ではなじみのない料理。せっかく出されたのだからとチャレンジはしてみるが、子どものころから好き嫌いが多かったせいで最後まで手をつけられない皿もいくつか。

 テーブルに所狭しと並べられた皿は壮観だが、食べないまま下げられるのももったいない。ならば食べられないパンチャンは最初から下げてもらうべきだろうかといつも悩んでしまう。好き嫌いを克服すべきという発想が出てこないのがそもそもの問題なのだろうけど。

【解説】
 お皿がいっぱい並ぶと見栄えもいいのだけど、韓国料理の副菜類は万人受けするとはいいがたい。10皿も並んだらひとつやふたつ苦手なものがあってもおかしくない。困ってしまうのは副菜が少ない店で、たった3皿なのに全部苦手なものが出るケース。めったにないことではあるけれど、このケースに遭遇すると泣きたくなった。

(初出:The Daily Korea News 2009年11月12日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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