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むかし書いた韓国コラム #433

 酒造会社の宝海醸造が、焼酎の新製品「9時半」を発売した。アルコール度を17.5度に下げたことで口当たりをマイルドにしたほか、庶民の懐事情を考慮し、自社の他の焼酎製品と同じ価格ながらも容量を15ミリリットル多い375ミリリットルにしたのが特長だ。また、焼酎と言えば韓国では定番となっているグリーンの瓶ではなく、昔を知る人には懐かしさを感じさせるジョージアグリーンと呼ばれる薄いグリーンの瓶とした。原料となる水も全羅南道長城郡の天然水を使い、ステビアから抽出した天然甘味料を添加したほか、高級ウォッカに使う最高品質のオランダ産活性炭で精製した。

 風変わりな商品名は、「大切な人たちと本当の話が始まる象徴的意味の時間」という意味だそうだ。健康のため9時半まで飲むも良し、9時半から本格的に飲み始めるのもいいだろう。既存ブランドのリニューアルではない完全新製品は焼酎では久々かもしれない。飲むのが楽しみだ。

【解説】
 首都圏では販路開拓が困難だったためほとんど出回らず、同社の地元である光州・全羅南道でも他社製品だけでなく自社製品との競争が激しく、苦戦が続いた末に残念ながら発売から3年ほどで生産中止されてしまった。焼酎業界は定番商品の裏でいくつもの短命商品があるが、「9時半」も短命に終わってしまった。写真は当時の報道資料より拝借。

(初出:The Daily Korea News 2014年4月8日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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