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むかし書いた韓国コラム #291

 思いもよらぬ所で日本語講座を開くことがある。留学時代に入国カードの入国目的欄に「語学研修」と書いたところ、空港の入国管理官に「韓国語は話せるのか」と尋ねられ、「できますよ」と答えたところ、その場で韓国語の日本語訳を頼まれたことがある。「滞在日数は?」「滞在目的は?」など基本的なものだったが、入国審査で10分ほど日本語講座のために時間を取られた。列の後ろで待っていた人には申し訳ないが、こちらもむげには断れなかった。

 先日は明洞の飲み屋で、韓国人の店員を相手に日本語講座を開いた。韓国語で「こちらへどうぞ」「おいしく召し上がれ」を日本語にしてほしいという依頼で、難しいものでもないのでその場で答えた。アルバイト生に見えたが、日本人客が多いことから自主的に勉強しているのだろうか。客から無料で日本語を学ぶとはちゃっかりしてるとは思ったが、あとで「サービスです」と玉子焼きを一皿持ってきた。そんなサービスがあるならいくらでも教えますよ。

【解説】
 玉子焼きをサービスにくれるだけ飲み屋の方がありがたい。入国審査で日本語を教えたところでビザの期限を延長してくれるわけでもないし、時間を取られすぎて列の後ろに並んでる人から「こいつ何をやらかしたんだろう」と好奇の目で見られるのはデメリットでしかない。

(初出:The Daily Korea News 2012年1月12日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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