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むかし書いた韓国コラム #96

 慶州にある国宝第31号の瞻星台が傾いているという話が出ており、文化財庁などが緊急現地調査を行った。調査の結果、先月24日時点で北に205ミリ、西に5ミリ傾いているが、構造的に緊急措置が必要な状態ではないと判断された。

 瞻星台は2009年10月からこれまで4回にわたり傾きを測定しており、北側に傾いているのは周知の事実らしい。急速に傾いている場合には解体して補修することもあるが、現在のところ進行は極めて遅く、とりあえずは現状のまま見守ることにしたという。国立文化財研究所によると、周辺の道路による人為的な地盤改良、位置による地盤固めの水準の違い、部位による風化度合いの違いなどが傾いている主要因だそうだ。

 傾いているといっても肉眼でわかるレベルではない。傾きの進行も非常に遅いということなので、「ピサの斜塔」ならぬ「慶州の斜塔」になることはなさそうだ。

【解説】
 意地の悪いことは言いたくないが、建設中のビルが傾いたり、竣工して数年のビルが傾いたりするような国なので瞻星台が傾いたとてさほど驚くようなことでもないかもしれない。ただ1000年以上昔から手抜き工事の伝統があるわけはなく、そもそも1000年以上崩壊せずに現存しているのだからその建築技術は確かなものともいえる。なおその後2016年に慶州地方で起きた地震により瞻星台の傾きはさらに増したという。抜本的な対策が待たれる。

(初出:The Daily Korea News 2014年10月2日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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