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むかし書いた韓国コラム #541

 ソウル歴史博物館の企画展「鍾路エレジー」を見に行ってきた。古くからソウルの繁華街だった鍾路の変遷を様々な写真や展示品で紹介している。和信百貨店をはじめ、ピカデリー劇場や団成社などの映画館、鍾路裏通りのピマッコルなど、近代化が進み姿を消していった往時の様子にしばし思いを馳せてみた。

 圧巻は半年前に撤去されたピマッコルの飲み屋を丸ごと再現したコーナーだ。パジョンをつつきながらマッコリを飲んだ「チョンイルチプ」が、店内の什器から壁の落書きに至るまでまるごと移設してある。いまやピマッコルは再開発で跡形もなく、近所を通りかかるたびに寂しさを覚えていたものだが、思わぬところで再会を果たすことに。仲間とさかずきを交わしながら盛り上がっていたあの頃が思い出された。どこかに落書きした記憶もあるが残念ながら見つけられなかった。なお店を再現しただけで、営業しているわけではないので念のため。入場無料。10月3日まで。

【解説】
 ソウル歴史博物館はなかなか気合いの入った展示をしてくれるのでお気に入りだ。この企画展で登場した「チョンイルチプ」はその後常設展示されているのでいまも見ることができる。いつか再訪して現役当時の店内で書いたはずの落書きを見つけたい。

(初出:The Daily Korea News 2010年9月6日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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