むかし書いた韓国コラム #891

 自宅での飲用水は近くの商店で2リットル入りのペットボトルのものを購入している。店の冷蔵ケースの中からボトルを取り出したところ、これがすべてガチガチに凍っていた。飲用水というよりも鈍器といった感じだ。店主の話によると、氷点下10度を下回る気温のため、配送のトラックがあちこち配達しているうちに凍ってしまうらしい。それでも冷蔵ケースに陳列しているのは、冷蔵ケースのほうが外気温より温かく、少なくとも氷点下にはならないので時間はかかってもある程度は溶けるためだという。

 「凍ってるけどいいかい?」という店主。凍ったことで品質に変化が起きるものではないし、それしかないのだから仕方がない。了承して買って帰ってきたが、意外にこれが強敵で、オンドルの効いた部屋に放置しておいてもなかなか溶けない。1時間たってようやくコップ1杯分の水ができた。水道管を凍結させたことはないが、水が出ない不便さの一端を垣間見た気がした。

【解説】
 韓国の住宅の窓は内窓と外窓の二重構造になっている。厳寒期にはこの内窓と外窓の間に飲み物などを置いておけばキンキンに冷えるので冷蔵庫はいらないのではないかと思ったりもしたが、厳寒期の冷蔵庫はものを冷やすためではなく凍らせないために必要なのである。

(初出:The Daily Korea News 2011年1月28日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?