むかし書いた韓国コラム #466

 サムスングループが飲酒習慣を改善するために「119」キャンペーンを展開したのは記憶に新しい。これは「1つの店で、1種類の酒で、午後9時まで」を意味する。そして今度はポスコが「222」キャンペーンを始めた。「グラスには2分の1だけ注ぎ、乾杯は2回まで、2時間以内に終了する」という意味だ。もっとも、口の悪い友人は、119の意味を「1つの店で、午前1時まで、9種類の酒で」と読み替えて嬉々として飲んでいたから効果は未知数だ。

 語呂合わせの節酒キャンペーンでは数年前に人気テレビ番組の「爆笑(ポクソ)クラブ」をもじった「爆掃(ポクソ)クラブ」なるものが流行った。「爆掃」は「爆弾酒掃討」の略。爆弾酒をなくそうという運動だった。当時勤めていた会社で酒好きの部長が「きょうは爆掃クラブだ」と言い出した。珍しいこともあるものだと思ったが、いつも通りに爆弾酒を飲んでいる。いわく「この世から爆弾酒をなくすために飲むんだ!」。

 酒飲みにはどんなキャンペーンも通用しそうにはない。

【解説】
 その会社は韓国でそこそこ名前の知られた会社だったが、昼休みでも酒を飲むことが黙認されており、昼休みを終えて帰ってくるとエレベーターがやけに酒臭いことも多々あった。昼の部内の会食でも普通に酒が出てくるし、件の部長はその会食後も2次会から3次会まで行ったりもした。部のトップが仕事しなくてもいいというのだからお付き合いはしたけれど、酒に関しては緩い社風の会社だった。

(初出:The Daily Korea News 2012年11月21日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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