むかし書いた韓国コラム #289

 仁川空港からのリムジンバス。発車間際に駆け込んできたのは外国人観光客。料金を現金で払おうとしたのだが、5万ウォン札しか持っていないらしい。リムジンの料金は1万ウォンちょうど。運転手は釣り銭を持ち合わせていないという。2人はカタコトの英語でやりとりしていたがらちがあかず、ついに運転手は「だれか5万ウォン両替できませんか」と乗客に助けを求め始めた。幸い手持ちに1万ウォン札が5枚あったので両替してあげたら双方に感謝され一件落着となった。

 このケース、釣り銭を用意せずに乗務していた運転手が悪いのか、高額紙幣しか持たずにバスに乗り込んだ観光客が悪いのか。観光客がどういう経緯で5万ウォン札しか持っていなかったのは知らないが、両替所も気を利かせて小額紙幣を混ぜてあげれば良かったのではないかとも思う。
 ともあれ、5万ウォン札は日常生活では使いにくいということを改めて感じさせる出来事だった。

【解説】
 バスに限らず1万ウォン以下の少額決済では5万ウォン札の使い勝手は悪く、手元に来たらいつも財布ではなく机の引き出しに入れて貯め込んでいた。5万ウォン札は2009年から発行が始まったが、それから数年でキャッシュレス化が急速に進んでしまい、その存在意義は薄れつつあるように感じる。

(初出:The Daily Korea News 2013年1月4日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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