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むかし書いた韓国コラム #658

 韓国は日本に比べると1人で食事をしにくい面がある。そしてそれよりも「おひとり様」の敷居が高いのは酒だ。

 先日釜山を訪れた際に、テジクッパ屋に向かった。テジクッパを食べたかったのだが、メニューを見るとスユク(蒸し肉)の定食があったのでそれを頼んだ。夕方早い時間だが日本人らしく「とりあえずビール」を頼もうとしたが、テーブルに並んだ定食を見ると、これは焼酎と抜群の相性のように思える。1人で食事の敷居は越えたが、はたしてここで焼酎を頼んでもよいものか…。悩んだ末に地元の焼酎「C1」を頼んでしまった。

 バーのカウンターでたばこをくゆらせながらグラスを傾けるような格好良さとは真逆の1人酒。日本のそば屋で天ぬきをあてに一杯やるような粋さもない。むしろ後ろめたさを感じるようなシチュエーションでもある。だがしかし、蒸し肉と焼酎のコンビネーションは絶妙で、みるみる間に1本あけてしまった。やってみれば簡単。もう1人酒も恐くはない。

【解説】
 韓国で1人酒はなかなかやりにくいのだが、慣れればどうということはない。1人酒に対する苦手意識を克服するのは簡単。「だれも自分のことなど見ていない」ということをしっかりと認識すること。1人酒がやりにくいのは人目が気になるからだが、だれも他人のことなど気にしちゃいないのである。1人酒の敵は無駄な自意識だ。

(初出:The Daily Korea News 2011年6月21日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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