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むかし書いた韓国コラム #124

 地下鉄3号線の忠武路駅に初めて降り立ったときの驚きはいまでも覚えている。壁に人工岩が設置され、まるで洞窟のような風景だったからだ。コンコースからプラットホームに向かうやや長めのエスカレーターも洞窟の中を進んでいくような雰囲気がありお気に入りの駅でもあった。ところが、最近訪れたところ、人工岩はすべてはがされコンクリートの壁がむき出しになっていた。

 以前から同駅には改装のうわさがあった。発端は2003年2月に起きた大邱地下鉄の火災事件だ。忠武路駅の人工岩は強化プラスチック製で、火災時に有毒ガスが発生する恐れがあると指摘されていた。同様に洞窟風デザインだった永登浦市場駅や新金湖駅はすでに改装を終えている。忠武路駅は手つかずだったので安泰かと思っていたが、ついに改装が始まったようだ。

 新しいデザインがどうなるかはわからない。いまの技術なら有毒ガスの出ない材質で人工岩の設置も可能だろう。再度人工洞窟として復活してほしいところだ。

【解説】
 残念ながらその後の改装により人工岩は撤去されてしまい、デザインもこれといった特徴のないものとなった。改装直前の人工岩は白灰色で明るい感じだったが、それまでは黒灰色と暗いトーンで照明も暗かったため洞窟感が強かった。掲載の写真は2003年の忠武路駅の様子。白灰色の人工岩の時代だ。

(初出:The Daily Korea News 2012年7月20日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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