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むかし書いた韓国コラム #439

 ソウル歴史博物館で6日から始まった企画展「アパート人生」は、韓国の住宅事情を大きく変えたアパートにスポットを当てたもので、70年代に建てられた瑞草三湖アパートの1室をそのまま再現したコーナーが目玉だ。生まれてからずっと集合住宅暮らしの当方にとってはどこか懐かしさを感じる展示だった。

 アパートは住宅事情を改善した功績もあるが、その一方で建設予定地の住人は立ち退きを迫られ反対運動が起こることも。そうした負の面についてもちゃんとコーナーを設けている。

 実は博物館から慶熙宮を挟んで東側一帯はいままさに再開発が始まり立ち退きと撤去が行われている。開発が終われば敦義門ニュータウンとして高層アパートが立ち並ぶことになるだろう。博物館では立ち退きや撤去の過程が資料写真などで展示されているが、すぐそばにはなによりリアルな現場がある。遊びに行くところではないが、消え行く風景を見に行くのも悪くない。

【解説】
 ソウル歴史博物館はなかなか興味深い企画展をやるので、自宅から近かったこともありよく訪ねたもの。アパートの1部屋をまるごと再現するとはなかなか気合いが入っている。なおコラム本文中に「慶熙宮を挟んで東側一帯」とあるのは「西側一帯」の間違い。現在はすでに高層アパートが林立し往時の面影はない。

(初出:The Daily Korea News 2014年3月14日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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