むかし書いた韓国コラム #313

 このところ相次いで女性ドライバーが運転するタクシーに乗る機会があった。これがいずれもなかなか手荒い運転で、アクセルを踏み込んで猛スピードって突っ走ってくれる。最近ではあまり聞かれなくなった「弾丸タクシー」という言葉を思い出したほど。女性ドライバーなら「女性ならではの繊細さ」を期待したいところだが、実際は「肝っ玉母ちゃんならではの豪快さ」だった。数回乗っただけなので女性ドライバーが全員そうだとは思わないが、男性ドライバーが絶対的多数を占めるタクシー業界で生きていくためにはこのくらいでなくてはやっていけないのかもしれない。

 「肝っ玉母ちゃんの弾丸タクシー」も決して悪くないと思ったのは、とにかく前に進もうとする姿勢だ。隣の車線が少しでもすいていればわずかな隙間を狙ってぐいぐいと割り込み車線変更を繰り返し、信号が赤に変わりそうでも構わず交差点に突っ込み、車が少なければフルスピードでかっ飛ばす。おかげで目的地には予想より早く着いた。

【解説】
 いまのご時世ではあまり「女性らしさ」などと言わない方がいいのかもしれない。それはさておき、20世紀末にはほぼ姿を消していた弾丸タクシーに再会できたのは怖いながらも懐かしさもありちょっとうれしかった。

(初出:The Daily Korea News 2013年8月8日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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