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むかし書いた韓国コラム 地方編

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「むかし書いた韓国コラム」から韓国の地方に関するものをピックアップしてみました。
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記事一覧

むかし書いた韓国コラム #956

 旅行予約サイトのエクスペディアの調べによると、日本を訪れる韓国人観光客は多くの都市を訪れるのに対し、韓国を訪れる日本人観光客はほとんどがソウルに集中していた。韓国人の日本旅行での訪問地は大阪が25%で最も多く、東京と沖縄が各20%、福岡と京都が各10%とばらつきを見せた。これに対し日本人の韓国旅行での訪問先はソウルが75%と圧倒的で、釜山が15%、仁川と済州が各5%、大邱が1%となった。確かに、日本だと地方に行っても韓国人の姿を見かけるが、韓国ではソウルを離れると日本人を見

むかし書いた韓国コラム #921

 韓国のサクラの名所、鎮海。サクラのトンネルの中を列車が走る風景は絵になる。しかし残念ながら今年はその風景は見られそうにない。鎮海軍港祭ホームページによると、毎年軍港祭期間中に走っていたシャトル列車は今年の運行予定はないそうだ。鎮海線はもともと昨年1月で定期旅客列車の運行は終了しており、鎮海駅も閉鎖されるなど事実上の廃線状態となっている。  サクラのトンネルで有名な慶和駅は毎年多くの観光客が訪れ、シャトル列車は人波をかきわけるように走っていく。ただ、写真を撮るために列車が接

むかし書いた韓国コラム #913

 今年春に開業した大邱都市鉄道3号線は韓国初の本格的モノレールということもあり人気を呼んでいる。その3号線の車内放送がちょっと変わっている。一部で大邱の方言を使っているのだ。大邱の観光スポットの最寄駅となる達城公園駅と西門市場に接近する際に流れる。列車の車内放送は全国どこでもソウル言葉を基本とするいわゆる標準語が使われており地域性は感じられない。大邱のこうした試みはなかなか画期的だ。  3号線の車内放送は韓国語と英語で流れるが、一部主要駅では日本語と中国語の案内もある。両駅

むかし書いた韓国コラム #894

 朝鮮半島は韓国語では「韓半島」という。この韓半島という名前を持つ地名がある。江原道寧越郡の韓半島面だ。そもそも韓国は島しょ部を除くとすべてが朝鮮半島に含まれているのだが、なぜ寧越郡に韓半島面が存在するのか。  この辺りは山間部で、川が山の間を縫うように蛇行している。この蛇行がちょうど朝鮮半島の形そっくりになっている部分があり、「韓半島地形」と呼ばれる観光地となっている。対岸にある展望台から見ると、東側が険しい山地で西側に平地が広がる地形まで朝鮮半島そっくりだ。  もとも

むかし書いた韓国コラム #889

 慶州もサクラが見事だった。鎮海に続き先週金曜日はサクラを見に慶州を訪れた。こちらも予想より早く咲き始めたとかで、12日から予定されていたサクラ祭りも急遽1週間早い5日からに前倒しで開催となった。新羅時代の遺物があちこちに残っている慶州。瞻星台や雁鴨池のサクラも良かったが、古墳と満開のサクラとのコラボも慶州ならではの光景だ。また、リゾート団地の普門湖は湖畔の散策路にサクラ並木が植わっておりなかなかいい雰囲気。CNNが選定した「韓国の美しい名所50選」にも選ばれた普門亭もさすが

むかし書いた韓国コラム #843

 サクラの名所の鎮海を抱える慶尚南道昌原市が行っている貸し自転車がすばらしいので紹介しよう。市内全域241カ所の自転車ステーションに2445台の自転車が配置され、会員登録をすれば市民でなくても1カ月4千ウォン、1年3万ウォンで自由に使える。交通カードに会員情報を登録すれば、無人の自転車スタンドにカードをタッチするだけで自転車を借りられる。旅行者も1日会員になり利用が可能だ。自転車は借りた場所に戻す必要はなく、出先のステーションに返却すればOKだ。自転車は7段ギア付きで、自動で

むかし書いた韓国コラム #830

 鬱陵島といえばイカが有名で、島で生産される水産物の9割を占めているという。「鬱陵島ツイスト」という歌でも島の娘がイカが豊漁ならお嫁に行くと歌われているほどで、鬱陵島とは切っても切れない関係だ。  ところが最近はイカの漁獲量が減っており、代替策として試験的にズワイガニの漁を行ってみたところ、これが期待以上の結果を得られ、島の新たな収入源としてにわかに脚光を浴びているという。これまではごく少量を獲っていたが、流通の問題から本格化はできなかった。しかしもともと鬱陵島から竹島(韓

むかし書いた韓国コラム #826

 韓国の「鉄の都」と言えば慶尚北道浦項市。韓国初の製鉄所である浦項製鉄(現ポスコ)で知られる町だ。この浦項市に2019年までに高さ300メートルの鉄鋼製タワーの建設が推進される。2019年はポスコ設立50年、浦項の市制施行70年となる年だ。鉄鋼の都市のイメージに合わせたランドマークを作ることで観光客を誘致し、低迷する地域経済を盛り上げる起爆剤にする考えのようだ。  高さ300メートルは東京タワーやエッフェル塔と同水準の高さで、一部メディアでは「浦項にエッフェル塔を」と報じ、

むかし書いた韓国コラム #790

 最近の日本のニュースがよくわからないのは、平成の大合併により新しく誕生した市の名前だ。平成の大合併のピークは2003年から2005年にかけて。地理には多少の覚えがあるが、この時期すでに韓国にいた身にはなじみがないのは仕方がないか。逆に名前をそのまま残したケースでは合併したことに気づかないままのケースもある。  韓国でも日本ほどではないが自治体合併の動きはある。昨年は慶尚南道の昌原市と馬山市、鎮海市が統合した。統合議論が起きていた当時は各市から1文字ずつ取って「馬昌鎮」「昌

むかし書いた韓国コラム #788

 京畿道安山の安山駅前に広がる外国人街はなかなかにカオスだった。中国、ベトナム、タイ、インドネシア、カンボジア、ミャンマー、ネパール、ウズベキスタンとさまざまな国の人々が集まる。食材店では各国の珍しい食べ物が売られ、露店ではドリアンが普通に並んでいる。しかしちゃんと韓国人向けの商店もあり、キムチや総菜などが売られ地元の人が訪れている。あちこちから聞こえてくるのは各国の言語で、一瞬自分がどこにいるのか忘れてしまうほど。ソウルで時に感じる外国人に対する無遠慮な視線も、外国人だらけ

むかし書いた韓国コラム #746

 サクラを見るため土曜日に鎮海を訪れた。天気も良くサクラもちょうど見ごろを迎え最高のタイミングだった。人気スポットである慶和駅は列車も通らなくなり、サクラと列車の組み合わせの写真は撮影できなくなった――と思ったら、なんと慶和駅構内に2両編成の気動車が展示されていた。旅客営業は廃止しているが線路自体はまだ使えるので軍港祭のために運び込んだのだろう。鉄道公社もなかなか粋な計らいをしてくれた。列車は動かないのでその前に立って撮影しても人身事故が起きる心配はない。訪れた観光客は思い思

むかし書いた韓国コラム #729

 山肌にびっしりと建ち並ぶ色とりどりの建物はなかなかの壮観だった。釜山市内にある甘川文化村は「韓国のマチュピチュ」や「韓国のサントリーニ」などと呼ばれる。朝鮮戦争当時に避難民たちが住み着いた町は近年になりアートの町に生まれ変わり、古ぼけた家屋もカラフルに塗り直され、そのフォトジェニックな街並みが人気を呼び多くの観光客が訪れている。普通に人が住んでいる集落の中に張りめぐらされた狭隘な路地にも壁画などが描かれ、地図を片手に散策するのも楽しいところだ。  以前住んでいたソウル市内

むかし書いた韓国コラム #721

 釜山の隣、慶尚南道金海は古代に伽耶国があったことで知られ、古墳や首露王陵など歴史遺跡も多く残る。一方、現代では産業団地を抱えており、東上洞には外国人労働者らが多く集まる外国人街が形成されている。  東上洞の商店街を歩くと多くのアジア系飲食店を見かける。市は周辺をグローバルフードタウンと名付け観光スポットとしている。ただ現状としては、韓国人はあまり近寄らない街で、アジア系飲食店もそれほど積極的に韓国人客を受け入れているようには思えない。入りにくい雰囲気の店が多く、気軽に各国

むかし書いた韓国コラム #704

 10年前の2003年2月に起きた大邱地下鉄放火事件は200人近い犠牲者を出す未曾有の大惨事となった。この火災を教訓に災害から身を守る体験学習などを行っている施設が大邱市民安全テーマパークだ。地下鉄火災時の車内や停電した駅からの脱出をはじめ、地震や山岳事故への対応、消火器の使い方などを、リアルに再現された施設で学ぶことができる。  この施設では放火事件により焼けたコインロッカーやATM機などが展示されているほか、事故車両も実物が公開されている。車両の見学は原則として所要2時