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帯状疱疹ワクチンについて

 こんにちは、となりのです。最近テレビコマーシャルの影響もあり、「帯状疱疹ワクチン」に関する質問を頂く機会が増えています。今回は「帯状疱疹ワクチン」について説明します。

 帯状疱疹は患者さんの数が多く高齢者が重症化しやすい傾向がありますので、事前に薬で何とか予防できないか、つまり帯状疱疹ワクチンを作れないかとの趣旨で開発がスタートしました。小児が接種している水痘(すいとう)ワクチンが帯状疱疹も予防することがわかったため(水痘と帯状疱疹は同じウイルス)、日本でも2016年より、小児の水痘ワクチンが「帯状疱疹ワクチン」として採用され、50歳以上であれば接種ができるようになりました。接種方法も皮下注射1回でインフルエンザウイルスワクチンと同じですので患者さんから受け入れやすいワクチンと思われました。

 しかしこのワクチンは大きな欠点を一つ持っていました。接種するワクチンが無毒化しているとはいえ、ウイルス(この場合水痘ウイルス)そのものを体に入れるため、免疫低下状態の疾患や病態を抱えている患者さんは接種が不可能だったのです(ワクチンで帯状疱疹を発症する可能性があるため)。これは免疫低下状態のない高齢者しか接種できないことになり、そもそも帯状疱疹は免疫低下状態に発症することが多いので、これは大きな欠点と言わざるを得ませんでした。

 この問題を解決するために開発されたのが、現在盛んにテレビコマーシャルをしているシングリックス®です。日本では2020年より接種が可能となりました。免疫低下状態の疾患や病態を抱える患者さんでも「慎重投与」というくくりにはなりますが、こちらは接種が可能です。帯状疱疹予防効果も非常に優れています。ただし、このワクチンは2カ月あけて2回筋肉注射(新型コロナウイルスワクチンと同じ接種方法)する必要があり、非常に値段が高いことが欠点です。また副反応が起こる確率も非常に高く、1回目か2回目のどちらかでは副反応が生じると考えてください。「従来型帯状疱疹ワクチン(水痘ワクチン)」と「新型帯状疱疹ワクチン(シングリックス®)」を比較した表を載せておきますのでどうぞご参照下さい。

 

帯状疱疹ワクチン比較表

 帯状疱疹ワクチン接種は全て自由診療です。帯状疱疹ワクチンは保険がきかず、高額なのでご注意ください(最近半額を助成する自治体が増えてきました)公費助成が可能な自治体もありますので事前に役所にご相談することをお勧めします。50歳以上の患者さんはご検討ください。


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