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かけられる数とかける数

小学生の子どもの算数の宿題で、わり算がありました。答えとともに、九九の何の段を使ったかを書くようになっていました。子どもは、

21÷3=7 (7のだん)

と書いていました。算数の教科書を見ると、3の段が正解のようです。はたして7の段でも正解にしてもらえるのか、3の段に訂正すべきか迷いながら、「7の段でも合っているとは思うけど、先生は3の段って書いてほしいと思うよ。」と話しました。

かけ算でも同様な話があります。例えば、「30こ入りのおかしの箱が7箱ありました。おかしは全部で何こありますか?式も書いてください。」といった問題です。答えは、

(式)30×7=210(答え)210個

ですが、

(式)7×30=210

では間違いでしょうか?小学校の算数では、「かけられる数」と「かける数」を明確に区別しています。30+30+30+30+30+30+30 を30×7と書き、30はかけられる数、7はかける数です。

雑誌やネットの記事を見ると、「かけられる数とかける数の区別は重要」という意見と、「区別する必要はない」という意見に分かれています。

印象としては、大学の数学の先生は「区別する必要はない」派が多く、小学校の先生や塾の先生は「区別は重要」派が多いようです。

私自身は、小中学校の頃は、区別を気にしていて、順番が逆だと気持ちが悪かったです。高校や大学以降で、その違いが重要だと感じたことがありません。なお、区別する必要がないのは、普通の数の計算の場合で、行列などの計算では結果も異なるので重要です。ただし、行列について、「かけられる」「かける」で区別した記憶はなく、「左からかける」「右からかける」という表現を使っていました。

「区別する必要ない」派の主張は、順番を入れ替えても結果が変わらず、本質的に同じなので、区別する必要がないということです。また、海外だと、表記順が逆の場合もあります。

「区別は重要」派の理由はいくつかあります。文の意味を正確に理解するのが重要や、区別できないとわり算でつまずくなどです。現実的には、試験で間違いにされる可能性があるので、区別しておいた方が安全ということもあるのかもしれません。(私の子どもの宿題への対応がそうでした。)

自分と自分の子どもしか経験がない私には、結論は出せませんが、できれば模範解答以外も間違いにはしてほしくないと思います。私は、違うやり方でも同じ結論にたどり着くというのが、数学の面白さ・美しさだと感じています。模範解答と違う式で、正解にたどりつけるということは、その子ならではのユニークな発想や思考方法がある可能性があり、それを大事にしてほしいと思います。少なくも、そのせいで算数が嫌いになってほしくないと感じているところです。

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