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限りあるいのちと本当に大切なもの

私の長女は、11年前に、旅立ちました。ある夜、突然、高熱が出て、下痢・嘔吐をしました。翌日、妻が小児科に連れていくと、検査では陰性だったものの、症状からインフルエンザの可能性が高いと診断されました。私は、GW連休前に片づけておく仕事があり、残業して帰りました。娘は苦しそうでしたが、子どもは熱が上がっても、じきに治るだろうと思っていました。

次の日は連休初日でした。インフルエンザにしても、あまりに苦しそうなので、再度小児科に連れて行きました。小児科クリニックから病院に紹介され、妻から入院することになりそうだと、連絡をもらいました。私は、妻が病院に連れて行っている間、次女の面倒を見ながら、たまっていた会社の仕事をしていました。

長女が入院病棟に移ってまもなく、容態が悪いので、さらに大きな総合病院に救急搬送することになりました。私も病院にかけつけました。総合病院に到着する直前に、心肺停止したという連絡をもらいました。発熱して2日弱で、その直前まで、元気で保育園に行き、ニコニコ一緒に遊んでお風呂に入っていたので、信じられませんでした。一旦は蘇生しましたが、再び心肺停止し、2度と笑顔を見ることができなくなりました。

インフルエンザ以外のウィルス感染による敗血症との診断でしたが、明確な原因はわかりませんでした。人間、特に子どもは、ちょっとやそっとでは命を落とすことがないと思い込んでいて、直前まで楽観視していました。長女を助けられなかったこと、助けられないまでも最期の時に寄り添えなかったことを、とても後悔しました。

まさか亡くなるとは想像していなかったとは言え、臨終の時に会社の仕事をしていた自分はなんて非情なのかと自分を責めもしました。本当に大切なものは何なのだろうかと考え直す機会にもなりました。

長女が亡くなった後、しばらくは、職場の理解もあり、仕事量を抑え、定時で帰り、家族中心の生活になりました。

あれから10年以上が過ぎました。今も、気がつくと、仕事の忙しさを理由に、家族との時間を削ってしまいがちです。会社中心の生活で本当に大切なものを見失わず、限られた人生を後悔しないようにしたいと、毎年、この時期になると思い直しています。


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