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数弱が医学部に入った話。

最初に忠告しておきます。学歴コンプ、大学ソムリエ、偏差値至上主義、指定校推薦に多大な恨みと偏見を抱えた方はここで読むのを辞めた方が精神衛生上よろしいと思います。

私は岩手県の片田舎に生まれ、何不自由もない生活を送らせてもらいました。

小学生から野球を始め、高校では背番号1をつけるまでに野球にどっぷり浸かっていました(最後の夏はケガもあり背番号1を貰えたのは春大会のみでしたが)

また、私は中学生の頃から整形外科医になり果てはスポーツドクターとしてスポーツに関わっていきたいという夢がありました。

中学の頃は学年でもトップで、高校も市内ではトップの公立高校に入学し、勉強も頑張ろうと決意していました。(市内ではトップとはいえ偏差値ギリ60の全国的には普通の高校です。)

しかし、硬式野球部に入って、文武両道の道は相当険しいものだと思い知らされました。
まず、入学した高校の野球部はプロ野球選手を輩出したり、春のセンバツに出場したり、東北チャンピオンにもなったことのある伝統校で、練習がまぁキツかったのです。

そのため、私のキャパシティではキツい練習終わりに勉強などできるはずもなく、成績はどんどん落ちていきました。
特に数学に関しては元々苦手なこともあり、試験は再試験、補習常連組でした。

時は高3の夏、当時甲子園に出場した強豪私立に敗れ、引退した後のこと。
引退して初めての模試(進研模試と全統模試)で、私は数学で200点満点中、4点と8点という驚異的な点数を取ってしまいました。
もちろん当時志望校欄に書いていた大学は全てE判定。
しかし、私は「部活ばっかやってたし、当然の結果。まぁなんとかなるだろう。」と楽観していました。
楽観の背景には父親が3浪したこともあり、浪人に寛容だったことから、ダメなら浪人すればいいと思っていました。

その後二者面談で担任(数学担当)に呼ばれ以下のようなことを話をしました。

担任「お前、マジで医学部目指してんの?」

私「はい。」

担任「お前、この成績じゃ医学部どころか国立理系すら無理やぞ。

私「ですよね、、」

担任「ちなみに、医学部ならどこでもいいの?浪人は?」

私「医学部なら北海道から沖縄どこでも良いです。浪人も考えてます。」

担任「なるほど、それ聞いて安心したわ。この成績を現役で医学部行かせられる能力が俺にあるなら独立して予備校作るわ笑」

私「はは。。(苦笑)」

担任「ちなみに、うちは毎年、2校だけ指定校推薦が来てるんだけど、受けてみるか?私立医だし、学費えげつないから親と話して聞いてみてくれ」

私「はい(指定校推薦って何?)」

目から鱗でした。
指定校推薦を知らなかった私は、そういう道もあると教えてくれた担任に感謝感激雨嵐でした。
特に入学して卒業を間近に控えた今となっても、国公立信仰の強い地方公立自称進学校において、私立医の指定校を勧めてくれた担任には足を向けて寝られないくらい感謝しております。

面談の後、家に帰り両親に話したところ、受かるわけないだろうけど受けるだけ受けてみいやと父親に言われ、受けることにしました。
ちなみに、その話をしながらいじっていた父のパソコンの画面には大手医学部予備校のHPが映っていました。(親父よ、、そんなに息子が信じられないか…)

校内選抜(受験者が私1人なのであまり意味はありませんが)を終え、指定校推薦は100%受かると噂に聞いていた私はルンルン気分で担任の元へ行くと、担任から衝撃の事実を教えられました。

担任「指定校推薦が100%受かるのは私文だけだぞ、医学部はそこから試験受けて受からんと入れないよ。」

そうです。医学部の指定校推薦は各高校から推薦された者達がさらに試験と面接で篩にかけられるものだったのです。
さらに前年度の倍率は3倍。模試の偏差値40台の私が医学部の推薦受けるような都内の進学校や地方の名門校の奴らと戦って3倍??

受かるわけがない…

しかし、普通に受けた方が勝率は薄いので、そこからは指定校推薦について調べ、2校のうち受ける大学を1つに絞り、ひたすら数学と英語、小論文と面接の対策をしていきました。
この推薦の試験に賭けようとひたすら勉強しました。

そして試験当日(試験当日も色々事件があったのでそれはまたの機会に)
最初に大学の偉い人のありがたいお話があり、その話の中でなんと今年の倍率は4倍ということを知り絶望したのを覚えてます。

数学、英語、小論文、面接を終え、私はこう思いました。

「うん、浪人は東京でしようかな」

受かるはずがないと正直思える手応えでした。

合格発表日は高校の職員室で担任のパソコンで見ることとなりました。

結果は見事合格。
僕の番号あります!!って言った時の担任の驚いた顔と第一声が「嘘だ!!」だったことは二度と忘れません。

ちなみに指定校推薦合格者に対しては、一般受験者に配慮する形で職員室でのみお祝いムードになるのですが、私の時は福本伸行のマンガかよってくらいざわついていました。
担任とはまた別の数学担当の先生からは「その合格発表のページ去年のじゃないの?」と結構失礼なことも言われましたが、なんとか合格をもぎ取り晴れて医学部に入学することが出来ました。

Twitter上では指定校推薦に対して厳しいツイートを良く見ますが、正直それで自分の実力以上の大学に行けるのなら、勉強は出来ないかもしれないけど賢いとは思います。

3ヶ月近い時間を受験勉強以外のところに使えますし、何よりちゃんと合法のシステムを利用して入ってるんだから文句言われようがないですよね。
私の場合は3年間野球をしていたことと、成績も校内の試験ではそこそこ取れていたので評定が高かったことが評価されたのだと思います。

高校生には、将来何がしたいか、どの大学に入りたいかを明確にしてそこに向かって最短距離で行ける手段を選んで欲しいです。
入学してから推薦も一般も関係なくなりますし、現に私は入学してからはストレートに来てます。一般で入って留年してる人もいますので、本当に入り方なんて関係ないです。
もちろん俺には勉強しかねえから勉強しまくって一般で入ってやるっていう人も素晴らしいと思いますし、勉強だけじゃ歯が立たないから何かしら他のこともやってみようというのもいいと思います。
私のように好きなことを好きなだけやったことが評価に繋がる人もいると思います。
学力だけで図らない入試制度はおかしいという意見も分かりますが、今の日本の入試制度で認められてるなら文句言って逆張りするより、上手く利用した方が100倍良いとは個人的に思います。

長くなりましたが、そういう選択肢もあるということをこれから大学受験をする人には知っておいて貰いたいです。

最初の忠告を守らず読んでしまった人は何を思おうが自由ですが、これは私の個人的な考えですし、他の人とは環境も境遇も違うことは分かっておりますので悪しからず。

じゃ、また。

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