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「グリーンブック」「ライ麦畑の反逆者」

<最近、印象に残った2つの映画、、、>
「グリーンブック」「ライ麦畑の反逆者」
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 一つは「グリーン・ブック」
反差別映画、かつ、友情物語、、、
でも私が一番惹かれたところは、黒人のクラシックピアニスト、ドクターシャーリーの不思議なパーソナリティーについて、、、

 類まれなる才能を認められ、ロシアで英才教育で世界的なピアニストとして認められたピアニスト。
でも、黒人の世界のことも、社会のこと、人との関わり方も知らない。
「黒人のくせにケンタッキーフライドチキンも知らねえのか?」と運転手&用心棒のトニー・リップに揶揄される。

 土砂降りの雨の中「俺は一体何者なんだ?」と叫ぶシーンは、この世界によりどころを見つけられない孤独者の叫びだ。
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 もう一つの映画は「ライ麦畑の反逆児」
ひどい日本語タイトルだ。
サリンジャーは反逆児なんかじゃなく、何度も何度も傷ついてきた、繊細で純粋な、今で言うハイセンスティブパーソンなのだろうと思う。

 恋人に裏切られ、戦争で精神を病み、心を許した学生にも裏切られてしまう。
最も深くサリンジャーを理解し、作家へと導いてくれた師であるホイット・バーネットにも心を閉ざしてしまう。
ホイットとの最後の別れのシーンは、森の中だった。

 「書くことは僕の祈りになった。
僕は夫や父親や友になるすべを知らない。
なれるのは作家だけ、、、、」
こうして森の中に入り、瞑想生活をしながら、公開することのない物語を書き続けた。

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 映画「グリーン・ブック」はドクターシャーリーの回復の物語だ。
この世界に自分の拠り所を見つけられなかったことは、社会が彼を排斥してきたことの裏返しでもあった。
そしてそれを彼自身の問題として引き受け、トニー・リップとの出会いによって、自己回復のプロセスを歩み始める。

 それに対しサリンジャーの物語は、最後は隠遁者となり、霊的な世界に生きることで、平安と幸福を見出す。

二人の生き方は、一見左右に分かれているように見える。
片方は社会に戻り、もう片方は社会から去っていく。
でも、二つの道は相容れないものとも思えない。
サリンジャーの晩年は、地域コミニュティーに溶け込んでいたと言われている。

霊的な生活と、社会内生活者であること、、、、
まあ、理想論は勝手なことが言えるけどね、、、

 

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