見出し画像

【7wonders戦略考察】4人戦の考えかた※2021/04/20微修正

■前置き

こんにちは😸
7wonders、世界の七不思議、楽しんでいますか?

久々の記事は7wondersの4人戦について考えていきます。

今回は過去の考察(特にPF理論や優先理論)もやや絡めていきます。この機会にぜひ読んでみてくださいね。一部過去記事を読んでいることが前提の解説があるので、あらかじめご了承ください。

まず、いつもの注釈です。

▼ルール説明はほとんどないです具体的なカード名も出します
・少なくとも100戦くらいはプレイしている方を推奨します。
▼ルールはBoardGameArenaの7wondersのアリーナモードに準拠します
・本稿では7wonders(新版、拡張なし)、四人戦

それでは今回もよろしくおねがいします!

※更新
・0327
細かな文言を修正、青戦略について各所に追記、エフェソス・ギザの項目に青戦略を追記。

•0420
ルールのところミスがあったので文言修正

•0816

本記事は少し内容が古くなっているので今のシーズンが終わったら新しい記事を出します。最近は動画で4人戦について解説してますのでお繋ぎにこちらをご参考にしていただければ幸いです😻

■4人戦と3人戦の違い

最初に3人戦との違いをざっと箇条書します。
後述する内容が関わってくるコメントもあるため、頭の片隅にいれておくだけで結構です。たぶん読んでいくうちにわかってくるハズ。

・科学の枚数が多い
→ 時代順に石版2:コンパス3:石版2
→ 科学側のドラフト耐性がつくが、競合が発生しやすかったり、哲学者ギルドが現れやすいなどで影響はトントン🐽

・ギルドの枚数が多い(5枚→6枚)
→ リスクを考えたピックが重要になる
→単純に高得点カードが増えるので、対立よりも得点力が重視されるゲームにすることもできる。(今回のメインテーマ

・軍事の枚数が多い
→時代順に4:4:5
→age2まではあまり影響なし。age3は勝ちにくくなった。

・商業の枚数が多い
→資金系のカードが3枚に増えた
→→資材として安定するようになった。黄色だけで資材戦略を立てられるようになった。(今回のメインテーマ
→商工会議所によって灰もリスクヘッジできるようになった
→灯台が容易な高火力札へと変わった。

・市民の枚数が多い
→age1に1枚、age2に1枚
→→青単や青スティール系の戦略がやりやすくなった

■導入--4人戦のヒント--(※0327追記)

さて最初に今回の記事の発想について、実例を交えながら説明していきます。以前の記事で3人戦とは対立と得点のゲームであると結論づけました。

ざっくりいうと、軍事側は自分以外のプレイヤー全員に対して1vs1の対立に勝つことで相対的に1位を取る。科学側はとにかく得点力を高めて絶対値で1位を狙うというものでした。

4人戦では必ずしもこの考え方を適用することはできません。

4人戦には対面という配置が存在します。自分からは一切触れない位置で、軍事もギルドも資材も全く自陣に影響を与えません。この対面位置にはそもそも対立を取るという概念が存在しないのです。

画像1

(...といいつつ対立行動自体はあります。資材やキーカードをスティールするとか。ただ対立択を選ぶと左右文明も利益を受けますね。
つまり得する人3-損する人1=2人が得して自分が1手消費するマイナス行動というだけです。対面との点数レースにならない限りは邪魔をすることはないです)

画像2

一番わかりやすい例が対面に科学がいる場合。
優先理論的には、科学は得点力の戦略なので、軍事側はそれを妨害するなり、軍事で基礎得点を守ったりする必要があります。が、対面相手にそれをすることができません。
対面の科学に全ての対立戦略(軍事で基礎点を守る、哲学でリスクヘッジをする、相手の基礎得点を減らす)を取れるのは左右の文明だけです。

この盤面では左右に科学を妨害する意思がありません。バビロンにほとんどの科学シンボルが集まり、ロードスはオリンピアへの軍事対立を優先。ギザはオリンピアへの資材対立を優先。科学を積極的に妨害してくれないので科学の点数を減らすのが難しいですね。

それでは、このゲームでオリンピアはどうやって勝つのかを紐解きます。
3→4人戦で変更された点がヒントになります。

・どの文明にも対面が存在し、左右文明は対面の影響を受けられる。
・市民、ギルド、リスクヘッジ系商業が増えて軍事陣営も得点力が増した


とあるゲームのログを追ってみることにします。

対戦ログのリンク

画像25

これはage2開始時点の状況です。このときギザ対面のバビロンは2つのデュアランを取得していますね。つまりage1で手に入る資材のほとんどが手に入らない状況になっています。
たとえばギザ視点で木が1枚しか存在しないため、stage1を埋めることができませんし、隊商宿をとることもできません。
左右の文明はバビロンから借り受けることができるので、コストはかかれども最低限の確保はできています。

重要なのは自分だけ1手遅れた行動を取る可能性があるということです。左右が木を取ってくれないならダブラン木を優先しないとage2でwonderを全く埋められないかもしれません。

画像26


2ターン目です。ここは軍事も取れませんし、自分にだけ必要なwonder資材を優先しなければなりません。ギザのような資材の必要量が多い文明が資材負けすると、他の行動を選ぶことができません

画像28


3ターン目も同様です。ダブラン木を左右が取ってくれないためおそらく自分で取る必要があるでしょう。そうなると1金だけでは後が苦しいので果樹園を取るしかありません。
次のターンでオリンピアは軍事を2枚揃えて全勝がほぼ確定してしまいます。最初の遅れがどんどん尾を引いたことが伺えます。

画像29

少し飛んでage3の1ターン目です。万事休すかと思われましたが、点数上は意外と負けていません。色々理由はありますが、その一つにバビロンの軍事があります。バビロンが軍事3点を取ったため、左右の文明は軍事両勝ちができず思ったより点数が伸びていないのです。

画像29

さらに飛んで最終局面ですが、実はこのゲームは僅差でギザが勝利できています。先程と同様バビロンが軍事を頑張ったため右は軍事に負け、左は軍事に2枚割いてしまいました。

またギザ-バビロン間、オリンピア-エフェソス間で一つの色が偏ることはありませんでした。色ではなくwonderを参照する建業者を除き、一番多い偏りでも6点以内に収まるため、どの文明にとっても色系ギルドが勝ち筋になることはありませんでした。

・左右は自対面から資材を借り受けられる。
→自分だけ持っていない資材が発生しうる。

・左右は自対面の軍事で点数が増減する。
→自対面が軍事をしてくれると左右に対して有利になる。

・左右は自対面のPFでギルド点が増減する。
→自対面が偏ったPFを組んでいると左右が有利になる。

このログから見えてくる結論は2点です。

・資材の遅れが、自分だけの行動の遅れをつくる
・偏った戦略が左右にいると有利、対面にいると不利になる。

行動の遅れはなにを生み出すでしょうか。たとえば最初に負けた軍事を巻き返すことが難しくなります。あるいは強い得点カードを落としてしまうこともあるでしょう。

PF理論ではギルドはリスクの具現化であるとしました。偏った戦略に対して自分以外に強いリターン、自分へのリスクを生成してしまうわけです。

科学対面

この場面ではロードスやギザ視点では職人ギルドの点数が10点にもなっています。今回は存在しませんが、バビロンも偏った戦略を取っているので、左右に哲学者を抑えられるリスクが発生しえたわけです。

見方を少し変えてみましょう。ロードスやギザは自身が灰を取らないことによる資金リスクを負うことで、職人ギルドという高リターン札を生成しているわけです。

ここにオリンピアの勝利条件を満たすヒントがあります。

デュアルランドは左右が抑えているため、普通の茶色戦略では資材の遅れを取り戻すことができません。しかし商業系、特に交易系のカードによってそのリスクを利用する形で軽減することができます。交易によって行動の遅れを取り戻しge2の軍事を2枚抑えられていれば、先手を取れました。

黄色に染める利点はもう一点あります。
オリンピアの位置は偏った戦略を取るバビロンに対してリスクをつけられません。ギルドのリターンを伸ばすには、左右に偏った行動を選ばせる必要があります。
バビロンの科学戦略も茶色を必要としないので、黄色戦略を被せることで左右に茶色をとる行動を誘発させられているわけです。


総括すると、4人戦のメインテーマは行動を早めるのか、得点力を上げるのかということです。
ただ後者の得点力を上げる行動は、間接的な影響に留まります。仮にこちらが茶色を渋っても対面が茶色を集めだす場合もあるので。
確実なのは前者です。行動を早めて軍事で先んじれば、高い確率で21点を抑えることができます。

4人戦の目的は少しクリアになってきました。
次に考えたいのはこの目標までの過程、歩み方です。これを考えるためにはそもそも4人戦がどういう構造になっているのかを知らなければなりません。ここまでが導入😓

議論が煩雑になってきたので、要点と目的をまとめます。

背景:
▼4人戦には対面と対立する選択肢が少ない
▼対面のリスク行動(偏った行動)が左右とのリターン差をつくる
▼対面の資材占有が自分の行動遅延をつくる

目的:
▼行動を早め、選択肢を増やすことでドラフトに勝利する。
▼低需要高火力のカードを増やしてドラフトを強化する。

手段:
▼4人戦のしくみを明らかにし盤面の状況を見極められるようにする。
▼盤面を見る力を育むことで目的に合致したピックをできるようにする

2021/03/27追記) リスク行動に注釈を入れました

それではいってみよー😆

-----------------------------------------

※20210327 追記
ちょっとだけ寄り道。

画像29

このゲームにはもう一つ着目したい点があります。
ギザの市民早取りです。age1で9点、age2で4点を取得しています。ギザのwonderを含めると21点分の点数行動を選んでいたわけです。
少し7wondersをやっている方ならわかると思いますが、age3開始時点で20点弱くらいがだいたい勝てるかどうかのボーダー(60点に到達できる)。

この行動なのですが、先に基礎得点を底上げして、後半はそれを守り切るという立ち回りを考えていました。要は科学と同じ行動です。

科学と違う点は、市民というカードが低需要高火力を満たさないことです。
そもそも科学が低需要な理由が、カードの価値が指数関数的に変動するからです。後半で一枚だけとっても1点ですから、最初から特化しないとだめ。
しかし市民はいつ取っても3点以上(科学1セット時の価値)が保証されている。

話を戻しますが、この行動は第3の選択肢であると考えています。
先程あげた4人戦の目的が以下です。

▼行動を早め、選択肢を増やすことでドラフトに勝利する。
▼低需要高火力のカードを増やしてドラフトを強化する。

先に基礎得点を獲得する → 点数的な余裕を作る → 行動を早める

と解釈すれば市民先取り、いわゆる青単的な行動は前者の目的を満たします。たとえば点数の余裕があるので、age3でいきなり軍事を2枚とって両勝ちするみたいな選択肢が増えます。
しかし後で解説しますが、行動を早めるためには資材戦略で勝たないといけません。大体のドラフト負けは資材回収を甘く見ていることが原因です。市民先取りをすると資材戦略で勝てなくなります。

また前述したように市民は後者の目的にはなりえません。
後者は港、船主、灯台などのリスクヘッジ系。哲学、労働者などのギルド、そして科学が該当します。科学は低需要だからこそ輝くのです。

この青行動が第3の選択肢として輝くのは以下のパターンです。

・軍事負けを考慮しても問題ないくらい点数を稼ぐ能力がある
・資材で負けていても行動ができる

ギザ🌙はこれに該当します。ギザ🌙は軍事をしなくてもwonderで軍事全勝分くらいの点数を持っています。

またギザ🌙は石の比率が高い文明です。石はage3のドラフトがかなり強いので、ふつうにwonder資材を集めておくだけでもそれなりのドラフトができます。
そして最悪灰が枯れても行動ができます。wonderの枠を少し多めに空けておいてage3で埋めるとか。灰自体も最悪紙さえあれば20点までは保証されています。

同じようなことをロードスが狙っても難しいでしょう。ロードスが資材そっちのけで青を稼いでもwonderを進められなくなりますし、wonder自体7~9点の価値しかないので得点能力(火力)が低いわけです。

どちらかというとこの立ち回りは次点の策です。
軍事全勝ができなかったので市民を先にとって基礎得点を高める。優先理論のnoteでも出てきた概念ですね。前述した2つのパターンを満たす文明に限り、1位を狙うための択として積極的に狙っていけると思っています。

これが狙える文明はエフェソス、ギザの2種です。

そういうわけで以降この戦略はこの戦略を選びやすいギザ・エフェソスについてのみ個別で言及します。

--------------------------------------------


■2つの視点

ここからが本題です。4人戦を考えるうえで重要なのが、どうやって盤面を見るかです。
最初に結論を述べますが、4人戦を捉えるには次の視点が必要です。

▼各陣営がどのように配置されているか?
▼各文明がどのような資材戦略を取っているか?

最終的にはこんな感じで、3種類の要素を組み合わせて戦略を構築するイメージを持っています。

画像21

■配置の原則

画像2

ここまで説明してきた対面科学の盤面に補助を引いてみたいと思います。

軍事科学

まずロードス、オリンピア、ギザは軍事陣営。バビロンは科学陣営です。そして最後まで自分の得意戦略を通しています。(つまりバビロンが軍事戦略に転向せず順当に科学で進んだということ)

呼び方を統一するため、age1(age3)の回転方向のときに科学を起点にゲームが始まったとして、各文明の配置呼称を定義します。
今回の例だとバビロンが科学、ロードスが科学下家、オリンピアが科学対面で、ギザが科学上家ですね。

①図中の赤矢印は軍事の影響力を差します。
向いてる先に勝ち越しているということですね。ロードス・ギザの矢印は科学側に向いています。軍事側が科学陣営に軍事で強いのは納得しやすいですね。
しかしオリンピアはどうでしょうか。オリンピアの左右は軍事文明です。今回はギザに軍事勝利できていますが、もしギザが資材を集めてage2の軍事に振っていれば負けていたでしょう。やや軍事で勝つコストが高いです。

③age3における取得カードの点数も書き出してみました。
結果的にどの文明が総得点が高かったのかは置いておくとして、一枚あたり点数が高いカードを取った順番はロードス、オリンピア、ギザです。科学もカウントに入れた場合はバビロンがトップです。

このゲームは軍事陣営が多いので、「このゲームで強いカード」≒軍事陣営にとって需要の高いカードと拡大解釈できます。

科学陣営は基本的に科学シンボルを取るので、科学のドラフトに入っていた強い市民やギルドは科学下家に流れます。
科学には「このゲームで強いカード」だけでなく「自分にだけ強いカード」もあるので択が発生しているわけですね。だから科学下家に強いカードが流れやすく、科学下家のドラフトが強くなります。

また各文明が自己利益の最大化を目的としてピックをする場合、得点力の高いカードをピックしている順にドラフトの自由度が高いとも言えます。
つまり科学を起点として右回りにドラフトが始まっていると捉えられます。

科学→科学下家と流れたあとの動きも考えてみましょう。
もし今回のように軍事が3人いるような場合だと、下家→対面→上家と軍事陣営が並んでいるので、科学に近い順に強いカードを各自抜き取っていくわけです。たいてい市民やギルドの優先度が高いでしょう。
そうして軍事に需要のあるカードが全てなくなると、カードを手に入れる順番が一番遅い上家は、ほとんど強いカードを取ることができなくなります。

この現象をフィルタと呼びます。

フィルタ

ここでは軍事が3人並んでいるので市民が漉されやすいですが、仮に科学が3人並んだら科学が漉されていくでしょう。
並ぶ陣営にとって需要のあるカードが漉されていく、というコト。

先にage3の点数配分について考えましたが、この傾向はage1にも現れています。ロードスがデュアラン・石・土といったage1で希少な資材を占有していますが、これは科学陣営にとって優先度の低い資材が流れてきたことを示しています。
ロードス以降は順番にほしい資材を取るはずなので、もしオリンピアやギザが軍事資材をちゃんと取っていれば、ギザの資材が枯れていたでしょう。

大体のゲームはこんな感じなのでログを見直してみてください。

軍事科学

(再掲)

ここまでの議論を表にまとめてみます。色が薄いほど全体としての下家です(科学の上家=全体の下家。めんどくさいので以降は単に上家、下家というときは科学の上家・下家を指します。)

画像4

軍事得点のしやすさは下家、上家が強いですね。基本的に軍事は全体の上家が勝つものとして、科学下家>科学上家、 科学 ≧ 科学対面 ということにしておきます。正直どっちでもいいです。

さて、簡単のために以下2要素で全体の順位が決定するよう4人戦を単純化してみます。
①軍事の得点力
②age3ドラフトの得点力

両要素の重みが一緒だとすると4人戦の強さはこんな感じになるでしょう。

画像6

誤解を恐れずに述べますが、4人戦はだいたい配置ゲーです。
たいていの盤面で科学下家が軍事、ドラフト耐性の面で利があります。逆に科学対面だけは不利な状況に立たされやすい。

ここで自分がどの軍事文明であるかは関係ないのです。ギザでもアレクサンドリアでも、ロードスでさえもこのゲームで科学対面位置を引いたら一人だけ軍事が不利なゲームをせざるを得ません。
軍事が勝ちやすいということは、資材の獲得が早い、行動が早いということです。資材は科学陣営も優先する場合は少なくないので一概には言えませんが、似たような傾向はあります。

age3のドラフト勝負でも同じです。
科学下家位置よりも上家位置のほうがピックが強くなるケースはあまりありません。対面位置に強いカードが固まっており、それが下家位置に届くまで3ターンかかるケースくらいでしょう。
(とはいえ、結果的に科学下家のage3最終得点が一番高いかのはわかりません。それはシャッフル次第です。単に強いカードを一番手に入れやすい確率の話をしています。)

ところで科学が多くなるゲームでの強さはどうでしょう。

フィルタ科学軍事

このケースではどこが起点かは議論しません。それよりも、小さく盤面を切ったときに起きる事象のほうが大切だからです。

過去の記事でも説明したように、科学競合、とりわけセットを狙う形での競合は互いに科学点を逓減してしまいます。なので必ずしも科学陣営も科学最優先ではなくなります。

それでも科学>市民の優先度になることはあるので、age後半でも強いカードがそれぞれの科学の下家に流れやすくなります。ハリカルのおこぼれをエフェソス、バビロンのおこぼれをロードスが貰い受ける。

大事なのは科学の下家は軍事陣営にとってのおこぼれをもらいやすい、つまり先ほどの表の一部分がミクロに再現されるということです。
あるいはフィルタの概念で捉えてもいいでしょう。自分の上家にとって重要性の低いカードは通過してくる。

もし1人も科学がいない盤面であれば、ドラフト上の優位関係はありません。初手から強いカードを順番に抜き取るだけなので、3人戦の軍事大戦と同様、軍事勝利の影響力が高くなるでしょう。

ここまでの議論をまとめます。

配置の原則
▼4人戦は科学・軍事の各陣営の配置に影響されやすい
・配置関係で大体の有利不利が判断できる。

▼配置の強さ
・科学 > 科学下家 > 科学対面 > 科学下家の順に強いカードを選びやすい
・科学陣営が多い場合は一般化しにくい。ただしフィルタの関係は小さく再現されやすい


配置の原則の概要はこんなところです。
次は配置ごとの特徴まで粒度を下げることで、おおざっぱに各配置の行動原理や傾向、クセを理解できるようにしましょう。

科学

科学
▼配置の特徴
・起点位置。最も戦略の幅が広い
・左右へ資材リスクをかけられる(資材戦略で解説)

▼勝利パターン
・科学を10枚以上集める
・科学の基礎得点を守ること

▼意識すべきこと
・科学に傾倒しすぎない
・科学競合が現れる位置、現れた場合のリスクを考慮する

まず全ての起点位置である科学です。
総じて言えることは、科学に傾倒しすぎないことです。

4人戦の科学はダブりのリスクが発生しやすく、発生した際のダメージも大きいです。
たとえば2周目まで回ってくるのは2ターン目までの手札ですが、
もし3,4ターン目のハンドに全ての科学が固まっているとその時代の半分の科学を失ってしまいます。

もう一つリスクが付きやすいのが灰色カードです。
ハリカル・エフェソスはやや耐性がありますが、バビロンはage1で灰を2枚以上占有された時点で科学貫徹は断念したほうがいいでしょう。せいぜいシンボル一種を集めていくか。

そういうわけで行動の速度面に、安全面にリスクを抱えているので科学単体の得点性能は高いものの最終得点自体はそれほど高くなりません。
かろうじて3セット9枚を集めても、それ以外の点数がなければ50点止まりがせいぜいです。軍事側もギルドによって得点力を増しているため、相対的にも勝ちにくくなっています。

科学プラスαの得点源を持つ、軍事で基礎得点を守るなどの選択も時に必要になるでしょう。自身の下家位置との直接対決であれば科学よりも相手の点数スティールを優先するのも大事です。
やはりこの位置でも資材は重要な気がします。

また科学競合する場合に気をつけたいのがこんな配置です。

画像11

まず科学上家に奪われる場合。この場合、奪われても科学下家位置になるのでそこまでリスクは大きくないのですが、この配置で科学独占を狙って茶色資材を流しすぎると、上家に競り負けた場合のリスクが大きいです。
軍事と資材を厚くして、下家の有利を活かすべきです。

画像12

問題が対面位置に奪われた場合です。シンボルを2:2で集められたのならまだマシですが、そのまま競合をずるずる続けていくと左右に軍事で挟まれて詰みがち。この状況だと灰色も自分だけリスクが付いているので、行動も遅れがちになります。
科学陣営はエフェソスを除いて科学以外の点数ソースが安定しません。対面位置に灰や科学を奪われそうな場合はバビロン☀など科学に頼らない面を使用することも考慮すべきです。

他にも良きせぬ場所から科学が奪われることも多くあるでしょうが、奪われたあとの自分の配置を確認して行動を選んでいきましょう。

科学下家

科学下家
▼配置の特徴
・軍事点が高い
・科学から強いカードが流れやすい
・自身の対面である科学上家との軍事利害が一致している
→科学対面と科学に対して少ない労力で両勝ちを狙いやすい

▼勝利パターン
・科学上家と挟んで軍事全勝
・軍事片勝ち + 船・哲学・青など高得点カード

▼意識すべきこと
・無理に軍事全勝しない
・資材を厚くして高得点カードを拾い逃さないようにする
→特に哲学者ギルドが取れるだけの資材は確保する。
→対面・上家へのフィルタを徹底することに繋がる
・ピックに余裕があるので、負け筋を作らないように立ち回る

画像9

再掲

便利なのでこの画像使いまわしますが、このロードスは無茶苦茶に資材を取っているように見えますが、科学下家の場合はこれでいいんです。
4人戦で最も恐れるべきは資材が枯れることです。

一見無駄行動ですが、まずは自分視点の資材を枯らさないことです。そもそも科学下家位置は軍事で負けにくいので基礎得点はある程度確保できていますし、資材を取りすぎても港や船主ギルドが伸びる(リスクヘッジのカードが多い)ので色々メリットもあります。

まとめると、この位置はかなり余裕があるので負け筋をつくらないだけでかなり強く立ち回れます。まずは軍事と資材でリスクをつけないことです。

科学対面

科学対面
▼配置の特徴
・軍事とギルドのリターンが低い
・灰資材のリスクが高い
・左右の戦略の影響を最も強く受ける。

▼勝利パターン
・軍事全勝
・科学下家に資材リスクが有る
・左右のギルドリスクが高い状態を作る

▼意識すべきこと
・相手のリスクを増やすピックも重要
・もともとリターンが低いのでリスクが爆発して4位になってでもリターンを最大にする気持ちを持つ
→資材枯れのリスクを負ってでも得点行動を優先する、軍事全勝するなど
・age3の高得点カードを拾い逃さない。

この位置が最も勝ち抜くのがきついです。
前述したように、ギルドの点数が伸びにくく、軍事コストが高い。自対面の科学が灰を占有するため資材リスクがついているなど、苦難の配置です。正攻法に殴り勝つことは難しく、もっともメタ的な動きが必要とされる配置と言えるでしょう。

この位置で意識したいのは次の2つです。

・軍事全勝を目指す構成
・左右のギルドリスクを高める構成

アレクサンドリアやロードスなど、比較的軍事全勝が狙いやすい文明の場合は積極的に軍事で勝てる構成をつくりたいです。特にage2で重要となる木鉄土の資材を集めて、点数や資金はほどほどにする。対面が科学なので左右から集金しやすく、ちゃんと軍事の点数が確保できるならかえって持久力が付きます。

画像13

左右に片勝ちするだけでも軍事が複数枚必要になることも。

軍事勝利が難しい文明の場合はage3のドラフトを強くすることを考えましょう。ドラフトを強くする考え方は3つあって、

①自分視点で高得点のカードを増やす
②早い段階で点数を集め始める。
③科学下家からドラフトが流れやすくする

①は黄色戦略でギルドの得点を増やしたり、灯台という切り札をつくるなどの前述した内容です。

②は青や緑のこと。
軍事や資材を取る手番すらも点数に費やしてage3開始時点で点数的な余裕を持つ。age3で平均以上のドラフトが取れれば十分総得点は高くなるので相対的にドラフト耐性がつくといえます。後述する青ギザ🌙もこの考え方に則った戦略です。
あとはwonder早埋めも有効です。リスクも高いですが手番を1手圧縮しつつage2のリターンを稼げるのでage3のドラフト運がよければ果てしないプラスを生みます。最速で軍事全勝を狙ったおかげで市民が取れなかった(基礎得点を補填できなかった)ときと相性がいいですね。

③は「科学下家が資材リスクの付きやすい文明限定の方法」です。
ロードスや夜ギザなどですね。これらの文明はage2に主要な資材が集まっているのでそれをスティール・カットしてage3のドラフトを優位にします。①~③の中では一番安定して狙いやすいと思います。

科学上家位置に対してはage3のドラフトは基本有利を取れるはずです。age2の軍事圧が強ければ無理に戦いすぎず資材と下家への妨害に専念したほうがよくなりやすいです。

・勝てない軍事や科学には手を出さない
・手番を圧縮する(資材を減らす、wonderを早く埋める)
・左右に無駄手番を使わせる(無駄資材、無駄軍事など)
・wonderの点数が高い面を選ぶ


科学上家

科学対面
▼配置の特徴
・ドラフト耐性が低く、資材と点数が伸び悩む
・軍事が重要。軍事に負けると対面との有利が逆転しやすい

▼勝利パターン
・科学下家と挟んで軍事全勝
・軍事片勝ち + 点数の早期収集
・科学強奪

▼意識すべきこと
・age2のピックが最終的な点差に響きやすい。
・できる限り軍事全勝を目指す。負ける場合もコスパよく負けること。

この位置は軍事に勝ちやすい一方で、ドラフト点が著しく低くなりやすいです。age3初手が強いカードであることを祈るしかないため、age2までの立ち回りが重要になります。

哲学の資材を集める、wonderを早めに埋める、軍事両勝ち、市民スティール、主にこれらから必要な行動を選択していきます。
基本的には軍事全勝を狙いたいですが、下家の軍事圧が少ない場合は青スティールを優先。資材にリスクが付きすぎてる場合は資材確保を優先してさっさとwonderを埋めてしまう(ドラフトが枯れやすい位置なので無駄行動になるリスクはありますが、wonderを足さないといけないくらいリターン差があるならリスクを取っていくべきです)

もう一つ特徴的なパターンが科学強奪です。
科学が最速で科学を集めようと灰を集めた場合、先にその灰資材を借り受けてシンボルを取ることができます。エフェソスやハリカルなど初期灰の文明は一枚灰を取れば借受と合わせてage1のシンボルをコントロールできるので狙いやすいです。

科学上家が負けるパターンは基本的にage2までの準備不足であることがほとんどです。もともとage3のドラフトは勝てない事が多いので、いかにそれを見越した立ち回りができるかが重要です。


-----------------------------------------------

ここまでが4人戦における配置の原則となります。
当然シャッフルや初手の運もあるので必ずしもこのパターンになるとは限りませんが、大体のゲームはこの支配下で行動を選択しなければなりません。

ではこれらの配置が決まった後に、各文明はどのように立ち回るべきでしょうか?それを支えるのが資材戦略だと考えています。

■4人戦における資材戦略


配置の原則が個々の文明が従うべき暗黙のルールであるとすれば、そのルール下での利益最大化を目指すのが資材戦略です。

今回も結論の画像を一枚掲載します。
資材戦略はじゃんけんのようなもの。自分の配置に必要な戦略を選んで、あるいは相手の資材戦略をメタってドラフトを有利にしよう!...というワケ。

資材相性

黄色

黄色
▼戦略の特徴
・左右の資材を自分のものとして拡張できる
・左右に資材取得を強要できる
・左右の資材を枯らすことができる
・灯台(黄色*1点が強力)や労働者など高得点カードを増やせる。
・資金が尽きると行動不能に陥る

▼意識すべきこと
・資材リスクの高い文明では避けること(ロードス)
・逆に左右の茶資材を枯らす立ち回りに弱い
・対面が資材を取らない戦略のときが最も効果的。


4人戦では新たに黄色戦略(黄染)が登場します。
参考画像を見てもらうのが一番早いですね。

画像15


こんな感じで、黄色戦略は自分の資材が枯れない程度の茶色を取りつつ、交易系、資材系、資金を組み合わせてお金を安く払いながら立ち回ります。

1つめのメリットは単純に左右の文明の資材を自分のものにできることです。左右がデュアランを抑えたとか、自分視点資材リスクがついてるけど早く行動したい場合(軍事全勝とか)に助かります。

2つめのメリットは左右の文明が自身から資材を借り受けられないことです。4人戦で最も恐れるべきは自分だけ枯れてる資材があることですから、黄色は能動的に相手の資材を枯らすことのできる攻撃的な型であるといえます(...うまくいけばね😅)

枯らせること自体はおまけで、本命は「相手に資材を取るよう強要できること」です。こうすると労働者や行政官など一部ギルドの火力が増えるので自分視点で最終ageのドラフトを強くすることができます。
灯台も有効ですね。黄色*1点になるカードですが資金もいれると6枚で8点になります。

黄色は攻撃的な資材戦略ですが弱点が2つ。

・黄色の競合、左右の科学など枯らす動きに弱い
・灯台は対策されやすい

・カードを安く買える交易系
・資金を大量に手に入れる資金系
・強化デュアランを手に入れる資材系

黄色にはこの3種類がありますが、黄色戦略のキモは交易系です。これをいくつ取れるか、そして強い方向に向けられるかが重要になります。意図的に向き先がリスク上等で資材を枯らしてくるケースもあり、その場合はこちらが無駄手番を消費せざるを得ません。

またよくあるケースが科学対面と科学上家で黄色競合するパターンです。この場合も交易の取り合いになったり、茶色が枯れるなどして消費が激しくなります。少しでも競合の気配が見えたらさっさと引いてしまうのも大事。
科学の横で黄色をするのも同様にリスクが高いです。茶色が枯れやすかったり、科学は灰を専有しやすいので商業ギルドによってリスクをつけられやすくもなります。

ハイリスクハイリターンを地で行く戦略ですので、age1で全くデュアランを取れなかったとか、点数カードをちょっとでも増やしたいなど、逆転の札として狙いたい戦略です。
またプレイヤー全体が資材の強さを理解しているかどうかで、黄色が刺さるかも変わってきます。特徴的ですが、カウンターだからこそ活きる戦略かなと思います。

【よくあるパターン】
科学対面 * 黄色 * 軍事
科学 * 黄色 * 科学


緑色

緑色
▼戦略の特徴
・左右に資材を借り受けさせない
・資材と得点が両立しており、独占できると低需要高火力の札になる。
・age1~3まで集め続ける前提のため哲学者ギルドが重い

▼意識すべきこと
・科学以外のドラフトが弱いので適宜資材を補給する
・緑単体のコントロール性能は低い。
・科学以外の連鎖札を活用すること。

緑色はつまり科学戦略です。
一部科学配置と説明が被るので資材的な意味合いだけ説明します。

緑色は連鎖が特徴です

画像16

一つシンボルを取ると次のageでの行動が2回以上確約されます。これを数珠つなぎにして点数と行動を稼いでいくわけですね。

科学は全ての行動がシンボルに委ねられているので、科学シンボルを独占できる盤面なのかどうかは常に考慮する必要があります。
4人戦では特に3セット戦略だけにこだわる理由はないです。少しでも同色競合や妨害の危険を感じたらダブランなどを補給して軍事軸にしたり、黄色と絡めてもよいでしょう。

黄色は互いに茶色を動かす性能に優れつつ、科学対面の黄色も妨害できるためとても強いシナジーがあります。盤面上左右の軍事圧が強く、科学をしたほうが楽なときは少し黄色を絡めておくと全対応できる場合があります

画像17

左ロードスは特に科学を狙うチャンス

(化逆門知ってる人いるのか...?)

緑色単体の戦略だと、科学が行動と点数を担うため、相手のコントロール性能に欠けます。科学下家が顕著ですが、特別な対策をされなくてもこちらが流した強カードを取りつつ軍事片勝ちされるだけで点差がほぼ無い状態に追い込まれがちです。茶色を枯らす性能はあるけれども、同時に相手のフィルタも通してしまうため左右の茶色にはやや弱いです。

逆に対面位置の茶色にはかなり強く出れます。いくら資材を厚くしても急所になるようなギルドは対面位置には流れにくいからですね。対面の茶色は軍事全勝を考慮しないと点数が足りないがち。

緑色の一番の強みはフィルタを開放できることでしょう。
同じ文明配置でも色を変えるだけでドラフトの難度はかなり異なってきます。4人戦の科学はとにかく点数が足りないので、勝ちに行くためには文明のシナジーも必要です。
ゆえに1位は無理だけど3位以上なら...という消極的手筋になることもあります。どうしようもないときの裏択としてそういう選択もあることは覚えておきましょう。

【よくあるパターン】
科学 * 緑色 * 科学
科学対面 * 緑色 * 科学

画像20


茶色

茶色
▼戦略の特徴
・堅実にマナを貯めるため最もドラフト耐性が高い。
・取りすぎのリスクヘッジ札が豊富(船主、港)
・集金札にもなるため結果的に手番圧縮できることもある。

▼意識すべきこと
・枯れるくらいなら取りすぎたほうがいい。
・左右の資材需要を見て集金の目安を立てること
・各ageで強いカードの資材を覚えること。

最後に基本の茶色です。

茶色は基本にして最も奥深いのですが、特に理由がなければ茶色を軸にすることをおすすめします。資材の遅れが選択肢を狭めるため、age1の資材を専有できると確実な有利が取れます。

意識すべきは構成と集金です。
ここまで説明してきたように、4人戦はドラフトが命のゲームです。特に複雑な資材を要求するギルドはできる限り取れるようにしておきたいです。こうしたドラフト用の構成を基本にして、軍事全勝を目指す場合の構成など、色々とパターンを覚えておく必要があります。

また資材は資産でもあるわけです。取って終わりではなく、取ってからさらに価値の上澄みがとれる点で緑や黄と資産的価値が異なります。うまく左右の資材需要を見越して集金を計算できると手番をかなり圧縮できます。

要点を述べましょう。

①wonderを埋めるための資材を優先する
②軍事全勝を目指す場合は専用の構成にする
③左右からの集金を勘定する
④余った手番でその位置で強いギルド構成を組む

最初に4人戦の資材数ですが、

画像22

まずage1はデュアランが3枚。単体のカードが2枚の場合と1枚の場合です。①③で重要となるのが石と土です。
デュアランは基本的に即断で取られるため初手以外期待できません。安定して狙えるのは単体資材ですが、石と土は1枚ずつしかありません。

3人戦ではage1で石を取る意味がありませんでしたが、4人戦ではその点考え方が異なります。

まず石は貴重な資材のため石系の文明の集金需要を満たせます。バビロン、オリンピア、ロードス、エフェソスですね。石が重いという意味ではギザもそうです。
4人戦はデュアラン石、資金カードが増えたのでage1で埋めやすくなりました。だからロードス以外は石2枚だけが必要なので1枚+2金でstage1を埋める場合が多くなったということです。

自分と自対面の文明を見て自分だけが石を持っているならその2金を比較的勘定しやすいでしょう。逆に自分が石系なら両取りしてstage1を無料で埋めることも有効です。age2で防壁が2金以内になるので軍事ケアもできます

土に依存する文明は少ないですが、アレキやハリカルは資材手番を圧縮する傾向にあるので確保できればほぼ確実に2金を計上できるでしょう。またこれら文明はwonderが強さを担っている一面もあり、wonderのリスクが重たくのしかかりやすいです。

軍事全勝を目指す場合は②を意識します。これは3人戦と同様にage2の軍事を最速取得できる構成を目指します。
厩(木鉄土)、矢場(木木鉄)、防壁(石石石)に加えて訓練場(木鉄鉄)ですね。おすすめは木鉄土を一枚ずつ集めておくこと。防壁以外は2金以内で獲得できるようになりますし、土を入れられるので集金も期待しやすいでしょう。
軍事構成だとwonder資材はやや後回しになりがちか、資金で借り受けるかが必要です。適宜酒場や果樹園などの資金ブーストが必要になることもありますが、できる限りこの工程は省略したいです。資金が足りるかどうか集金勘定が大事な理由がここにあるわけですね。

最後にage2時点で軍事を抑え、wonder資材を抑え、と首尾よく進んだ後の行動として、ギルドの構成を作ることが重要です。茶色は手番を資材に割きがちでやや点数補填に遅れが出やすい。その分age3で大量得点しなければならないので、その盤面で強いギルドを取り逃がさないことが生命線になります。

画像34

茶色は資金面で優れている分、借受戦略を左右が結託してくる場合がリスクです。例えばロードスは鉄をage1で1枚抑えておかないと、自力で4枚集めるのが難しくなります。左右に黄色と緑が並ぶ場合は注意が必要です。

【よくあるパターン】
科学下家 * 茶色 * 軍事
科学上家 * 茶色 * 軍事
科学対面 * 茶色 * 軍事
科学 * 茶色 * バランス


---------------------------------

さて、ここまでが資材戦略の説明になります。

ちょっと情報量が多くなってきたので振り返ります。

背景:
▼4人戦には対面と対立する選択肢が少ない
▼対面のリスク行動(偏った行動)が左右とのリターン差をつくる
▼対面の資材占有が自分の行動遅延をつくる

目的:
▼行動を早め、選択肢を増やすことでドラフトに勝利する。
▼低需要高火力のカードを増やしてドラフトを強化する。

手段:
▼4人戦のしくみを明らかにし盤面の状況を見極められるようにする。
▼盤面を見る力を育むことで目的に合致したピックをできるようにする


行動を早めるピックとしては、黄色や茶色の資材戦略が当てはまりそうですね。そしてそれを集めやすいのが科学下家から時計回り。科学下家が資材を流してくれたらチャンスです。しっかりと資材を抑えて自分の下家の資材を枯らすのがよさそうですね。

低需要高火力を満たすのは緑や黄色です。これを狙いたい位置は科学や科学対面位置。軍事や資材にリスクがつくか、あるいはそれよりも遥かに高いリターンを目指すかの択。

最後に各文明が各配置のとき、どんな方針をとれば目的を達成できるのかを考察することで4人戦のしくみを網羅しましょう。


■文明の方針

最後にここまでの議論が各文明の面とどのようにシナジーするかを解説します。大事なのは盤面は生きているということです。
科学強奪による配置の逆転や、科学側の軍事転向など、いろんな趣向で配置が目まぐるしく変わります。そうした配置転換のなかで初動が遅れることもあるでしょう。

そんなときにどうやって後のリスクを回避するか。
まずは流れが決まった後の配置位置を確認すること。次にその配置での速度やリスクを見て資材戦略を決める。
7wonders はピックの指向を変えることで(PFを調整することで)リスクを抑えるドラフトをしていくしかなく、最初の文明選択は変更できません。

基本的には手番を早める方針でPFを組むほうが安定しますから、それを前提に文明を選択するべきです。
最初の配置の時点でリスクが確実につきまとう場合に得点重視の文明で覚悟を決める。大体の文明はこういう認識でいいと思います。


ギザ(※0327改稿)

ギザ


▼昼面(wonder :○ 初期資源 :△ 資材構成 :△ 独自性 :△)
・石以外はダブランがなくても足りるため夜面よりは資材リスク低め
・wonderはエフェソス🌙と同じ水準のバニラ。特徴がない
・ドラフト寄りの面だけに初期資源が軍事向きでないのが痛い
・科学下家、科学上家

▼夜面
(wonder :◎ 初期資源 :△ 資材構成 :✕ 独自性 :○)
・科学2セット並の火力はあるため独自路線も狙える
・資材構成がワースト。遅れやすいので軍事かwonderが遅れがち
・科学対面、科学上家

ギザは今季もっとも苦しい文明です。
救済されたとはいえ依然として初期石は軍事向きではありません。むしろage1の石が救済されて石系の文明のリスクが減っているのでギザの集金性能、資材対立上の優位は減っています。
よって一方的に3人戦で強かった要素が削られてしまったという状況です。

※0327追記
...と書いていたのですがシーズン終盤の現状、最強格だと考えています。
確かに集金性能は落ちたのですが、4人戦のギザの強みは石による後半ドラフトの強さ、灰耐性、woder火力にあると思っています。例えるならチェスでいうクイーンというか、地力の高さで圧倒できる

ギザの使い分けは4人戦の目的そのままにドラフト勝負するか、絶対値勝負するかです。

7wondersでは小が大を兼ねるので、大体の盤面でギザ☀を選んでおいたほうが展開が良いです。特に軍事 + ドラフト勝負をするなら昼面かな。
小回りが効くので急な配置転換にも対応しやすいですし、軍事をしても十分wonderを埋めきれる余裕があります。wonderが5点低い代わりにダブラン土を取らなくて良くなるのはでかいです。

科学下家、科学上家位置で軍事全勝を目指したい場合は、普通に軍事構成の茶色戦略をおすすめします。たとえば左右が科学競合してきそうとか、科学対面位置の軍事が弱いとか、自体面と軍事で挟みたいときですね。
あとは左右がロードスでない軍事文明のときに軍事全勝を目指すとか。ちょっとリスクはありますけどね。

ギザは木土も構成に含まれるので多少は軍事もしやすいはずです。石が枯れてさえいなければage1は木鉄土を優先しても大丈夫でしょう。
ギザ🌙で軍事戦略を取るとダブラン2枚が重くwonderをstage3までしか埋められないなんてこともよくあります。軍事を主軸にしたいなら割り切って☀でいいと思います。

で、問題がギザ🌙です。ここまでの軍事前提の立ち回りを全否定できる立ち回りができると考えています。

つまり第三の選択肢である「1位を狙える青戦略」です。


4人戦の隠れた変更点として、重複しない青がちょっと増えています。そしてちょっとだけ連鎖します。そのため青単が成功したときのリターンがさらに科学近くなりました。

画像28


もともと20点を持っているギザ🌙に、さらに青やギルドで30~40点くらい稼げれば絶対値で勝てるのではないか?という理屈。
言うまでもなく脳筋ゴリ押しゴリラ戦法です。

しかしてこの単純な行動はとても強いです。
wonder20点というのは、軍事側が全勝したときのリターン21点とほぼ同じです。つまり軍事が赤を重ねている隙にもっと点数を稼いでしまえば、リターン差をより広げられると考えてもいいわけです。

ギザ🌙の強みは「点数リードからの行動選択の多さ」です
この盤面では左に科学がいますから、少なくとも片勝ちはしやすいです。片勝ちをしておけば軍事全勝側に21点差をつけられないのでリターン差を守りやすくなります。

この盤面で軍事全勝位置が自対面のロードスです。ギザ🌙はこの盤面がとても強いです。
左右がロードスに軍事勝ちを狙う場合、軍事の取り合いが発生するので片勝ちできれば序盤のリードを守りやすくなります。

逆に左右がロードスに勝ちに行かない場合、軍事が余りやすくなるのでギザの必要資材ダブラン石土を集め終わった後に軍事全勝ができるケースがあります。
ロードスと軍事で挟めば左右は追いつけないですし、ロードスの軍事リターン21点を同じ点数で帳消しできるのでリターン負けはほぼしなくなります。

またギザ🌙は茶色のリスクはあるものの、灰は紙さえあれば20点を確保できます。左右が灰を枯らしてくる立ち回りをしても、wonderを多めに空けてage3のコントロールをすることができます。age3のリターンは減りますが、そこで序盤の青リード分行動に余裕ができているわけですね。

このように資材、軍事、文明の配置によらず安定した20点を守る立ち回りができるため、全ての読み合いを拒否することができるわけです。

4人戦は単純な科学が伸びにくいですし、軍事全勝も安定させるのは難しいです。資材リスクこそありますが、age2は他の文明は軍事や科学を優先しないと行けないタイミングのうえダブランの枚数も多いので資金リスクさえなければそれなりに動けます。

資材戦略は茶一色か黃と茶で半々といったところです。コツはできる限り手番を圧縮すること。wonderを取れるだけの資材を集めつつ、黄色で他の資源を網羅する。あるいはこの戦法はドラフト耐性が低くてもなんとかなるので、黄色で資源の兵糧攻めをして左右に無駄手番を使わせるのも有効です。当然ダブランを最も必要とする文明なので、リスクも高いです。

また、強いカードだとしてもこの戦略に向いてないカードは流す決断が必要になります。特に粘土採掘場(鉄土デュアラン)です。貴重な資金を消費しつつwonder効率、青効率、集金効率が悪いためわたしはあまり取らないです。例えば左右にアレクサンドリアがいるとか、渡すと不利になりそうなところで対立択的に取ったり、自対面がロードスで軍事が挟めそうなときに狙います。
灰も網羅したいところですが、紙さえあればwonderは止まらないので最悪枯れてもだいじょうぶ。

ギザ🌙の青戦略の弱点が左右に軍事を挟まれる展開です。
前述したようにギザ🌙の青戦略は盤面の状況によらない内的な行動なので直接止めることは難しいです。
しかし左右軍事で挟まれると左右文明に24点差をつけられます。このとき対面が軍事を諦めて科学や点数優先のピックをしだすと、左右の軍事手番が減り得点優先のピックをしてきます。
そうなるとage3のドラフトだけでリターン差は覆すのがかなり難しくなるのでジリ貧負けしやすくなるわけです。

逆にギザ🌙相手に重要なのはしっかりと軍事で勝ってギザとのリターン差を抑えておくことです。ギザに軍事で負けると、軍事文明はほぼ負けが確定するので少なくともギザには軍事で勝っておけば、まだワンチャンスつかめます。


バビロン

バビロン

▼昼面(wonder :○ 初期資源 :◎ 資材構成 :○ 独自性 :◎)
・wonderが木鉄土で生粋の軍事構成。ただし枚数が多い
・wonderは科学を絡めなくても11点と高水準
・科学アンチ行動と科学行動のスイッチも可能
・灰リスクの高い位置を推奨

▼夜面
(wonder :◎ 初期資源 :◎ 資材構成 :△ 独自性 :△)
・言わずとしれた強wonder。ただし科学戦略以外では不確定要素が多い
・ピンポイントな必要資源が多い
・科学を絡めないと点数が伸びないので科学特化するしかない。
・科学位置、科学上家での使用を推奨

バビロンはぱっと見不器用そうな優等生と、なんでもできそうでできない一芸特化の面で構成されています。攻守の切り替えという意味ではとてもよいデザインをしています。

バビロンは4人戦の目的と合致したギザの使い分けとは少し考え方を変える必要があります。私の解釈ではメインの夜面、リスクヘッジの昼面。科学を取れたときのバビロン🌙がこのゲームで最も強いと考えています。

夜面はとにかくage1で灰を集めきって、シンボルコンプにこだわらないことが大切です。2枚で上々。

夜面の資材戦略は茶色か黄色です。唯一重たい土は哲学者の材料なので、左右も枯らしにくい資材です。黄色を併用しても若干リスクは低いかな。
安定はもちろん茶色。重要なage2の科学は特定のダブランと灰の組み合わせで取れるものが多いです。組み合わせをしっかり暗記して、余裕があるときは先にそのシンボル用のダブランを取ることも重要です。

登場頻度が多いのはwonder素材兼研究所になるダブラン土、科学者の材料兼診療所の材料のダブラン鉄、wonder兼図書館のダブラン石。

茶色を集める過程で科学者ギルドの材料が集まったり、age3の他の材料が揃ったりするので、対立行動を取るためにも茶色を持っておくのは安定します。もちろん灰と連鎖だけで兵糧攻めしてもいいでしょう。

夜面のリスクは灰です。科学系ながら自力では科学ができないので、1から集める必要があります。対面にage1の灰を抑えられるとか、左右に集められて資材対立されるとか、色々不都合になることも多いです。

昼面は優等生ながら絶妙に資材が重たく扱いづらいです。

優等生のゆえんは資材構成です。木鉄土と軍事構成のデフォルトなので、普通に軍事しているだけで他の軍事系よりやや手番が早くなります。
ただ科学を絡めようとすると灰や同資材を複数必要とすることもあり、若干資金に不安ができます。

昼面の強みである科学アンチ行動について説明します。
昼面は埋め枠が3枚あるので、まず埋め妨害がしやすいです。そして科学者(シンボル1種に変化)を持っているのがキモです。

画像32

真ん中の点線四角は科学者枠を示しています。
仮に石版から集め始めた場合、どんなとり方をしても3枚までなら9点以上が確約されます。このときwonder点数は実質5点以上を出します。

4枚集めた場合でも、一種単なら7点行動とかなり強いソース。適当に集めても3点、4点の価値にはなります。wonderの実質点数は下がりますがage3で最後に余った科学がどんなとり方をしても3点になるのは強いでしょう。

雑に説明すると「埋め手番が足りなくても適当に取って妨害するだけで自分にとってもリターンのある行動になる」という理解でいいと思います。

基本的には木鉄土をage1でコンプリートして軍事全勝を目指す型が強いです。対面がハリカル、エフェソスなどの科学系の場合資材占有ができるので左右からの集金効率がよくなる場合があります。

昼面は特定の配置のときというよりリスクの高い(科学に依存しにくい)配置でカウンター面、リスクヘッジ面として使いたいです。
わたしならこんな感じの配置のときに選びます。

画像31

対面で灰の科学競合がいるなら良くて痛み分け、最悪灰も科学も占有されるので軍事が難しそうでも必ず昼面を選びます。
他は灰が2人以上いる場合、特に対面に灰がいる場合も昼面のほうが安定します。科学が2人以上いるということはエフェソスかハリカルがいるので、科学競合する確率が高いです。軍事をソースにしたほうが安定します。

最後に判断が難しいのが、対面にアレクサンドリアがいて、科学したほうが安定しそうな盤面です。🌙面でフィルタを通せれば科学独占できて楽ですが、アレキ☀で科学強奪を狙ってくるリスクがあるので、やっぱり昼面案件のような気はします。

こういう難しい盤面だったり、競合すると思っていたところが軍事してきた場合の科学スイッチも可能です。その場合stage3は難しいですが、stage2が科学者なのはやはり心強いです。科学連鎖の矢場などで軍事を薄くした左右に片勝ちするのもよいでしょう。

対戦ログのリンク

画像30


オリンピア

オリンピア

▼昼面(wonder :○ 初期資源 :◎ 資材構成 :○ 独自性 :△)
・灰色がなくてもwonderを埋められる。
・必要資材6枚とコスパ最高。ただしstage1が石で遅れやすい
・stage2は確定でギルドを無料にするためドラフト耐性が高い
・今季需要の高い土が初期資源で強い
・特に理由がなければ昼面を使わない選択肢がない

▼夜面
(wonder :✕ 初期資源 :◎ 資材構成 :✕ 独自性 :○)
・wonder能力が完全に運のため実質バニラ。
・stage1が枯れやすい鉄、stage3が灰全種とワーストの資材構成
・科学上家位置での科学強奪が狙えなくはない。

オリンピアは4人戦の恩恵を強く受けた文明です。

stage1が石の弱点を除くと、昼面はとても優秀な構成をしています。
まず資材を6枚しか必要としないので、age1の木石土+6金でwonderを全て埋めれます。4人戦でのwonderの埋めやすさは極大メリットを持ちます。

つまり手番圧縮がしやすい=4人戦の目的である速度の需要を満たしやすいということです。

昼面の強みはもう一つあります。
灰への依存度が極端に低いため、仮に左右に灰を枯渇された場合に一つ強い回答を持っています。それが軍事全勝+wonder早埋め+青空け の展開です。

まず軍事全勝+wonder早埋めは定石の戦略です。
age2までで足りない点数をstage3の点数で補填しつつage3の手番を圧縮してアルファリターンを狙う。この時市民を一枚も取らないようにしておくと、宮殿神殿といった灰全種を必要とする市民もstage2の対象となります。当然ギルドも対象ですから、wonderで点数を補填しつつも少なくとも2枚の強カードを取りのがすことがなくなる。軍事も1手有利が取れているという体制を作ることができます。

対戦ログのリンク

画像41

オリンピア☀は資材構成上速度が出やすいので、資材占有→軍事両勝ちで王道に先手を取ってゆく型が強いでしょう。いろんな色をバランス良く取りやすい文明なので緑や青などの特化戦術とはやや相性が悪いです。

科学下家位置では資材占有に重点を起き、上家・対面位置は軍事全勝を視野に入れる。どの位置でも茶色が安定ですが資材負けした場合は黄色を主軸に軍事勝利を目指すといいと思います。
資材構成が少ないので黄色のデメリットも受けにくいです。


問題が🌙面です。
🌙面は4人戦でも最弱のため、特に使う理由はないと思います。

age1の資材需要は土、石、木>>>>鉄くらい鉄が低いです。軍事構成には必要なパーツですが緑色や黄色では特に取る理由がない。そのうえ鉄デュアランが1枚しかないので、age1でwonderを埋められないリスクもやや高い。

4人戦は灰が枯れやすいのでsatge3は論外です。苦労しても5点しか取れないので苦労する意味がそれほどありません。

一応、灰を集める必要があるので気持ち的には科学を集めやすいですが具体的なメリットがあるわけではないです。
もう科学を通さないと勝てないとか、そういう場合の裏択として使うぐらいの面だと思っています。


ロードス(※0327追記)

ロードス

▼昼面(wonder :○ 初期資源 :○ 資材構成 :△ 独自性 :△)
・軍事構成 + 埋め枠増量の面
・ダブランが2枚必要な点は夜面と同様のため資金不足になりやすい
・科学上家位置など科学を意識する場合

▼夜面
(wonder :◎ 初期資源 :○ 資材構成 :△ 独自性 :△)
・wonderで手番の遅れを無視できるため盤面を変えやすい。
・ダブランが2枚必要なためage2の軍事にやや不安がある。
・基本的にこの面でよい。小回りがきく

ロードスは3人戦よりはやや力が落ちると考えています。ロードスは火力が低く軍事で稼ぐことが前提となるため、どの位置でもやることは同じ。基本的には安定する夜面1択でよいです。

※0327追記
ロードス単体の性能として苦しいのが火力の低さと鉄リスクです。

3人戦は軍事全勝で全ての文明のリターンを減らすことができましたが、4人戦では自対面位置が同じように軍事全勝をしてきたり、自対面が軍事をしないことで左右がらくらく片勝ちできるなど、自分が関与できない盤面が多いです。
ギザの項でも説明しましたが、自対面と軍事全勝を挟む場合対面がロードスよりも火力の高い文明だとリターン負けします。いうなれば「軍事全勝」自体の強さが3→4人戦で弱体化したといえます。構造的な問題です。

もう一つ苦しいのが鉄リスクです。
4人戦はage1に鉄が少ないうえ、軍事をしない限り鉄はそれほど需要のない資材です。今季は軍事をしなくても勝てる択が存在するので、鉄を全く取らないプレイングも可能になります。ゆえに鉄が非常に枯れやすくロードスには向かい風です。

4人戦でのロードスのリスク要素は、シャッフル、資材負けです。

そもそもロードスは軍事最強のようで、資材構成は軍事向きというわけではありません。軍事構成の木鉄土を揃えたとしてもダブラン石を取らないと詰むため、ダブラン石を取るまでは借受矢場や借受訓練場などの行動にリスクが付いています。
4人戦では最遅で4ターンカードが回ってこないので、最悪強いカードを4ターン流し続ける必要があるわけです。こうなるともう遅れを取り戻すことは苦しいです。

3人戦は資材数が少ないため木鉄土を作ること=資材占有により相手の行動力を削ぐことだったため、相対的に遅れを取ることはありませんでした。
しかし4人戦は木鉄やデュアランが多かったり、対面の影響で自分だけ速度が激減することもあります。ただでさえage2の行動が2手ダブランに奪われているので、一つの遅延が全体の計画に影響を及ぼしやすいです。

逆に言うと他の軍事文明とトントンの資材保有状況ならwonderでドラフトの遅れを無理やり取り戻せるので、資材リスクさえなければやはり軍事の強さは健在です。


☀面は資材構成=軍事構成なので、wonderだけをみれば手番圧縮がしやすいものの、鉄と土のダブラン2枚を資金補填なしで乗り越えないといけないので安定はしにくいでしょう。
またバビロン☀と事情が異なるのは、バビロンは科学を絡めていけるので多少age3のドラフトに耐性があることです。木鉄土だけでage3を迎えると港と庭園(市民5点)くらいしか安く取れるカードがないので、結局ダブラン石は必要です。

それに4人戦は無理して科学を埋めなくても、軍事側もギルドで得点力を伸ばしやすいです。きちんと軍事全勝して点数も抑える方策でもいいため無理に科学意識でこちらの面を選ぶ必要はないと思います。


ロードスの資材集めのコツは、まずage1で軍事構成をしっかり集めること。無理に軍事2点を優先して資材が木鉄の2枚しか取れなかったのでは次の時代が厳しいです。age2で無料で取れる軍事構成を増やしておくと資金面に余裕ができます。それは資材占有するということでもあるので、集金も期待しやすくなります。軍事全勝さえできれば得点はまかなえるので市民も後回しで大丈夫です。

科学ロードスという選択肢もありますが、これは奇策だと思っているので軽く触れる程度にします。
市場や灰を集めながら科学をして、wonderや軍事連鎖で左右に安く軍事を勝たせないタイプの戦略です。軍事文明が科学をしてきた場合にコスパよく片勝ちを狙ってくる左右へのメタ戦略です。


エフェソス(※0327改稿)

エフェソス

▼昼面(wonder :○ 初期資源 :◎ 資材構成 :○ 独自性 :○)
・シンプルな軍事構成の面。
・オリンピア☀同様ダブランが必要なく手番が早い
・対面科学位置で科学妨害を意識する場合

▼夜面
(wonder :◎ 初期資源 :◎ 資材構成 :◎ 独自性 :◎)
・4人戦の理論上最強
・軍事、科学どちらのドラフトも強い資材構成で起用万能
・wonderの軽さに対して火力が高くコスパが良い
・基本この面で全対応できる。

オリンピア☀と同じく4人戦の恩恵を強く受けた文明です。
もともとエフェソス🌙はstage1の石が致命的な欠点でした。軍事に振るとwonderにリスクがつきせっかくの資金を活かしにくい。そもそも資金を獲得したところで3人戦は高得点カードが少ない対立ゲーなので使いみちがありませんでした。

4人戦ではage1の石の供給と需要が回復。age3の高得点カードが増えた、となると完全に弱点を克服した形になったわけです。
そもそも石鉄木の構成は後半のドラフトに強いので、資金も合わせればドラフト耐性は最高の部類でした。そのうえ科学もやりやすい構成なのは同じくなので、単に強いだけの文明になったというわけです。

わたしはエフェソスが4人戦でダントツのTOP Tierだと考えています。
理由を箇条書すると

・wonderが埋めやすく最大14点と高い
・科学、軍事どちらも並以上に強く配置ごとに陣営スイッチが可能
・資金による借受性能が高く多少資材が足りなくても立ち回れる
(=1位を狙う青戦略の条件を満たす)
・資材構成がage3のドラフトに強く資材コスパが最高

エフェソスの強さを支えるのがwonderと資材構成です。

4人戦の科学はなにかと点数が足りないがちと述べましたが、エフェソスは科学の少ない資源でも最後までwonderを埋めやすく火力がある。軍事戦略でも継続的に点数と資金を補填できる仕組みはとても強いです。
青戦略を狙う場合、age1の資材だけで最後まで埋めることも十分可能なのでギザが資材を集める手番でも市民を集められる点で差別化できます。

また資材構成が絶妙。
初期資源が紙なので科学をしやすいですし、石木鉄と集めていれば石版一種や科学者ギルドが取りやすい。
また石木鉄はage3の市民や装飾者、職人に闘技場など...軍事文明としても狙いたいカードが集めやすいです。ゆえにどちらの陣営でも立ち回りやすい。

ギザ🌙は配置に関係なく強い立ち回りで圧をかけられましたが、エフェソスは自分が得意な配置に転換できる点で柔軟性が高いです。左右が軍事に挟まれていても科学に逃げることができるのはとても強いです。

次にエフェソス☀です。
エフェソス☀は他の昼面でよく見る鉄土木の軍事構成です。エフェソスの利点だった資金補填がage2に偏っているため、🌙面ほど柔軟な立ち回りは難しく、他の軍事構成の文明と同じくらいには資金勘定が重要になります。

バビロン☀やロードス☀よりもバニラ味が強い分、ダブランなしで立ち回れるのはそこそこ優秀です。軍事で貫徹する場合は石がないとage3が苦しいのはロードス☀と同様です。

☀面の立ち回りを重視しているプレイヤーといえばwonderful playsさんです

エフェソスは☀面ならガラス、🌙面なら布をwonderに用いるため、対面の科学競合と反対色の灰を奪う(例えば対面がハリカルならガラスを奪う)ことでwonder素材を取りつつ科学の初動を止めるプレイングを紹介しています

バビロン☀と違い石版一種を集めるのは簡単なので、軍事構成で軍事に先んじつつ石版をカットしていくことでage3のドラフトを多少和らげられるのはメリットかもしれません。いずれにせよ昼面はアンチ科学面としての運用が楽だとは思います。


エフェソスは資金が潤沢なので黄色とも多少は相性がいいですが、特化するまでではないという印象です。交易だけ抑えておけば資材負けを十分カバーできるので、軍事を取り勝ったあとは普通にダブランで足りない資材を補うほうが強いと思います。科学の場合は黄色継続でもいいかも。


アレクサンドリア

アレクサンドリア

▼昼面(wonder :△ 初期資源 :◎ 資材構成 :△ 独自性 :○)
・気持ち夜面よりも点数がある
・科学時に灰の無駄がないが科学には向いていない

▼夜面
(wonder :◎ 初期資源 :◎ 資材構成 :○ 独自性 :○)
・wonderと軍事構成のシナジーが4人戦に噛み合っている
・土以外は大きな資材リスクがなく手番が最も早くなりやすい
・軍事に勝てないと点数勝負に負けやすい

アレクサンドリア🌙の強みはなにより手番が早いことです

資材は木鉄土の軍事構成で軍事で先んじて動きやすいのは共通ですが、キャラバンがあるのでage3のドラフトがかなり改善されています。また広場も持っているので灰のリスクがほぼ有りません。

そのためage1で土のデュアランを抑えられれば高い確率で軍事全勝を目指しやすいです。オリンピア☀と同様に軍事全勝+wonder早埋めといった対応策も狙いやすく、一度動きだした後の制圧力が高いと評価しています。

デメリットはstage1にリスクがつくとロードス以上の低火力文明に成り下がることです。これはロードスのデメリットと同様ですが、ダブラン土を取るまで他の動きが制限されてしまい、すべてのメリットが帳消しにされます。

あとは資材で勝てたものの結局軍事全勝できなかった場合にもリスクがあります。

対戦ログのリンク

画像38

ロードスに対して資材勝ちできているものの全体の軍事欲が高くage2で軍事を引き分けに持っていかれたため点数が伸びませんでした。
また左のハリカルにage3で軍事をするポーズを見せられたため軍事を取らざるを得ず、点数をロードスに流してしまって火力負けしました。

とはいえ資材リスクがなく最も自由に動けるので、軍事全勝が難しくなりそうならこのゲームのように青スティールに移行するなどPFの調整が容易ですから柔軟に対応しましょう。

一番安定するのは速度を生かした🌙 * 茶色 * 軍事全勝の型です。
どの配置でも狙いやすいので基本はこれを主軸にしつつ、軍事コスパが悪い場合に次点策に移行するのがよいでしょう。

科学下家位置、科学上家位置なら軍事片勝ちの青ステで一貫するとか。科学対面位置でも軍事全勝は十分狙えますが、もしage2で片勝ちしかできないなら科学下家の資材をスティール・カットする動きも強いです。次のage3のときにフィルタを通過しやすくなりますし、自分はカットしてもリスクを負いにくい。


☀面についてですが、現状なんのために存在する面なのかがわかっていません。灰2種を要求するのが弱いですし、石鉄は別に軍事も科学もめちゃくちゃ強いわけではないです。点数も3点しか変わらないので得点力重視の戦略を取れるわけでもなく。

アレクサンドリアで科学をするなら☀面一択という説もありますが、私は科学を選ぶにしても🌙面のほうが強いと思っています。そもそもアレクサンドリアで科学をしないといけない次点でwonderをすべて埋める手番なんてないですし、資材も足りません。せいぜいstage1,2くらいまでしか埋めれないと思います。
そうなるとstage2が無駄行動になりますが、age1で取り逃した資材をstage1のキャラバンで回収しやすくすることを考えたほうが☀の3点よりも価値があると思っています。


ハリカルナッソス(※0327追記)

ハリカル

▼昼面(wonder :○ 初期資源 :◎ 資材構成 :△ 独自性 :△)
・wonderの点数が安定するため科学に依存しなくてよい
・資材構成が中途半端で狙いやすい行動がない

▼夜面
(wonder :◎ 初期資源 :◎ 資材構成 :△ 独自性 :◎)
・wonder * 初期灰 * 科学のシナジーで有利相性が多い
・それなりに軍事もできるため対応能力は高いが、科学前提の構成のため最初に軍事か科学を決め打たないといけないアンチシナジーもある
・基本的にこの面一択。

最後にハリカルナッソスです。

ハリカル🌙といえば科学特化の安定性と軍事スイッチの対応能力が強みですが、4人戦ではやや強みが活かしにくいと考えています。

そもそも4人戦は科学が安定しにくいです。
対面に影響を受けやすいのはなにも科学対面位置だけではなく、科学も同様です。全体的に軍事陣営が点数を底上げしてきているものの、科学は重複ありのシンボルが増えているだけです。
しかし前述したように3,4ターンに全ての科学がダブっていると詰み。対面位置に灰を占有されるなど極端な行動でも詰み。科学競合がいると点数が低減して詰み。そもそもプレイヤーが一人多いのでカットされる機会も3人戦より増えます。

ゆえに科学陣営も優先理論でいう「基礎得点を守る」という概念が重要になります。多少は軍事を絡めるか、科学連鎖だけでなく資材も集めて市民スティールなど対立行動をするか。

ハリカルの4人戦の戦略を難しくしているのが、ハリカルの超攻撃特化の性能です。

たとえば科学競合を嫌って軍事に完全転向する場合。墓地回収は墓地にカードがあることが前提なので、好きなタイミングで能動的に埋める行動には向きません。
つまりハリカルのケア能力は著しく低いのです。科学をしないハリカルは火力が低くなりがちなので、なにより軍事全勝を目指さないといけない。一種単と軍事を並行するほど器用にピックするのも難しいです。

しかしハリカル🌙の軍事性能や資材構成は並です。木土をwonderに持つものの軍事全勝を目指すとなるとstage2のガラス紙がとても重いです。軍事構成の資材を取り勝てるかどうかは他の文明同様運です。
age2の防壁捨て回収などトリッキーな行動は健在ですが、逆にハリカルが市民やギルドなど軍事のピックをしだすと、墓地回収でまともな点数カードがとれなくなる問題も生じます。せいぜい科学1セットを集めて10点を狙うくらい。
🌙はwonder点が3点しか確約されていないので、このような得点カードの需要が集中する盤面だとアレクサンドリア以上に得点不足に悩むリスクがあります。

また科学競合する場合。最後まで科学を相手が諦めてこないケースだとハリカルだけ点数が伸びずに4位になるケースが多いです。科学競合になりがちなバビロンやエフェソスはそれぞれwonderでハリカルより点数が伸びやすいです。
このとき適当に2セットくらいを狙いながら軍事移行するのが理想ですが、左右がしっかり軍事で挟む立ち回りをしてくると詰みです。ハリカルの火力ではそのリターン差を覆すことは不可能です。


「ハリカルはなんでもできるようで、ある程度リターンを持っていることが前提の自由度である」
と評価しています。

結局軍事全勝できるとか、最低限20点を確保できるくらい科学を集められる、どちらかの条件を満たしてるときに墓地回収で悪さができるだけだと考えています。
今季科学一本はきつく、軍事全勝を目指したい文明も多い異常、低需要な立ち位置を狙いたいハリカルがその位置を陣取ることは難しいのです。

これが4人戦におけるハリカルの難しさだと思っています。

0327追記)要約が推敲前でおかしかったので修正

ただハリカルは相性面ではとても恵まれています。最もシンボル回収性能が高く、初期灰の科学なので灰のリスクがやや低い。
基本的には科学位置を取って科学で圧殺を心がける。軍事が薄い左右にage2で軍事勝利したり、隙を見て資材を集めるなどして安定行動を混ぜるといった随所の立ち回りが重要になると思います。

おすすめはage1の前半は様子見でデュアランや灰確保から入る。科学競合がいなさそうなら科学を集め始め、怪しい雰囲気がしたら資材占有でage2以降の軍事全勝を目指すスイッチ型です。
あるいは左にエフェソスやバビロンなど科学競合がいる場合は強奪される可能性が高いので最初から軍事一本でPFを組むなど。速度は遅いものの最初から軍事一本に絞ればそれなりに全勝のチャンスもあるはずです。

☀面に関しては科学競合がいて科学点に依存できない場合に、バビロン☀的な運用ができるのではないか?と考えています。ただ軍事一本でいくには資材構成がやや重たいので、あまり試せていません。☀面がアンチ科学として機能するならハリカルの評価もかなり上がると思います。


-------------------------------------


さて、とても長い記事になりましたが、これで最後です。ここまででてきた話をもう一度振り返ってみたいと思います。

まず4人戦の捉え方を考えるための筋道がこれでした。

背景:
▼4人戦には対面と対立する選択肢が少ない
▼対面のリスク行動(偏った行動)が左右とのリターン差をつくる
▼対面の資材占有が自分の行動遅延をつくる

目的:
▼行動を早め、選択肢を増やすことでドラフトに勝利する。
▼低需要高火力のカードを増やしてドラフトを強化する。

手段:
▼4人戦のしくみを明らかにし盤面の状況を見極められるようにする。
▼盤面を見る力を育むことで目的に合致したピックをできるようにする

画像40

結論として、
4人戦は先に軍事を取る、先に点数を奪うといった行動の速さないし選択肢の広さが勝利に寄与しやすいということ。
あるいは得点カードが増えたのでそれらをたくさん集めて絶対値で勝つことができるということ。
この2点が勝因になりうるのでした。

行動の速さとはつまり、いかに早く資材を占有できるか、あるいは資材を利用できるかです。
じゃあ一体どうすれば資材を占有できるのか。余計な資材を集めなくて済むのか。実は4人戦は各陣営の配置を見ればおおよそのドラフトの強さや行動基準を推測することができます。それをある程度まとめたものを今回「配置の原則」と呼んだわけですね。

配置ごとに資材の集まりやすさや、リスクの付きやすさがわかりました。次にどのように資材を集めれば行動が早くなるか、あるいは得点力を高めるドラフトに強くなるか。ここで借受の黄色、得点と連鎖の緑色、集金の茶色、の概念を紹介しました。

配置 * 資材 の戦略はどの文明でも等しい影響を受けます。どの文明でも科学下家は茶色戦略が効率的です。この2つの組み合わせがgeneralな戦略だとすれば、文明によっては固有能力のwonderでuniqueな戦略を取ることができます。あるいは文明によってはその位置でgeneralな戦略に特有のリスクが付く場合がありました。それを4人戦における文明の特徴を把握することで、柔軟に対応できるようにしました。

最後に本稿の所々で出た言葉ですが盤面は生きているということです。
自分からは触れられない位置である対面の存在が様々なリスクを生むため、配置が転換すると自分を取り巻く状況の多くが変わります。これが3人戦と最も違うところで、盤面の全てをコントロールすることができません。

4人戦は特にそうした不可逆なリスクに対して、少しずつ方針を変更することで最終的に最もリターンが高くなる選択をしないといけません。
つまり最終的にどうなれば勝てるのかというイメージに対してピックを軌道修正する、ポートフォリオを修正するという意識が重要になります。

たとえば、軍事全勝を目指していたけど左が軍事でヤケになったのなら、早い段階で両勝ちを諦めて点数を高めるピックが必要になります。
灰を対面に取られて科学戦略が選べなくなったなら、軍事全勝のリターンを見込めるように資材占有を選んでいく必要があるかもしれません。

おおまかな理論としてはポートフォリオ理論に包含されるものですが、実際はその場その場の対応と修正が如実に結果に現れるゲームです。
なんだかんだいいつつも、3人戦よりも個人の考え方や方針が強さに直結しやすいと考えています。やりこむと結構面白いですよ、4人戦😊


■あとがき


きれいにまとまったので今回まとめはナシです❗

まずnoteの投稿が遅れてしまってすみません...。
わたし自身、前回の4人戦が7wondersのデビューだったので今回の考察は実質1からのスタートでした。

前回なんとなく理解していたことをなんとなく再解釈したり、事象の表面だけで結論を出してしまったりと、色々迷走していました😓

特にTwitterでいろいろ議論してくれて考察のヒントをくれたくもうしくんさんに感謝です😸
行動の速さ(つまり軍事に先んじて勝つ)という概念が自分の考察をすごくきれいにまとめてくれました。



さて気づけば4人戦も残り一ヶ月ですね
まだ肌寒さのある季節ですから、お家でBGAを楽しみましょう!

ありがとうございました

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?