知覧新茶 ゆたかみどり
「ゆたかみどり」は「やぶきた」についで2番目に栽培面積が大きく、そのほとんどが鹿児島県で栽培されています。
1996年に鹿児島で命名登録された品種です。やや寒さに弱い品種のため、温かい地域の茶園で多く栽培されています。
ゆたかみどりの多くは深蒸し茶として売られている事が多く、鮮やかな緑色をした水色が美しく、コクのあるまろやかな味わいです。
苦渋みが少なく、口当たりが良いのも特徴です。
ゆたかみどりと鹿児島の歴史
日本茶の代表品種「やぶきた」に次いで2番目に多い品種の「ゆたかみどり」。
鹿児島県は産地としても静岡県に次いで2番目に生産量の多い、日本を代表する茶産地です。ですが、昔は鹿児島のお茶というと、静岡や京都に比べると品質が良くないと言われていました。そのため高い値段が付かず「安かろう悪かろう」のイメージが定着していました。
鹿児島茶は江戸時代に島津藩が茶葉の栽培を奨励したことから歴史が始まります。
生産が本格的になったのは戦後のことで、京都や静岡に比べると後発だった為、生産技術の蓄積がされていませんでした。
お茶はたとえ良い茶葉が栽培されても、製茶技術が悪ければ良いお茶にはなりません。
高度成長期に突入し、お茶の需要が増えると、京都や静岡の茶商からのニーズもあり鹿児島茶への注目が集まりました。
需要が増えると茶農家や問屋も増え、競争が生まれ、技術も高まります。
産地として商いが順調になると、その基盤を元に「やぶきた」以外の品種に注目する農家さんが出てきました。
「静岡や京都に負けないくらいのお茶を作る」という想いもあったのでしょう。様々な研究の末に誕生した「Y-2」という品種はのちに「ゆたかみどり」と名付けられました。
しかし、そんな頃のゆたかみどりは今とは違い、渋みが強く売り物にならないお茶と揶揄される存在でした。
茶農家や多くの関係者が火入れや蒸し時間など、粘り強く試行錯誤し続けた結果、ゆたかみどりの弱点であった「渋み」の解消に成功しました。
また、鮮やかな緑色を出すために「被覆栽培」を取り入れました。
被覆栽培とはお茶の畝を黒いネットなどの被覆資材で覆い、直射日光を避ける栽培方法で玉露や抹茶の原料の碾茶の栽培に用いられる方法です。
こうして、全国の茶問屋にも認められるお茶に仕上がりました。
今では静岡に次ぐ2番目の栽培量を誇る一大産地になり、ゆたかみどりはやぶきたに負けない人気の品種になりました。
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