常滑急須の特徴と急須で淹れるお茶の魅力
「急須離れが進んでいる」、「家に急須がない家庭が増えている」そう言われるようになったのはいつ頃からだろう。
お茶は急須でなくても淹れられます。
ですが、煎を重ねるごとに変化する日本茶の味わいを楽しむには急須が最適な道具だと思います。
その中でも、常滑急須はどれも非常に精度の高い急須と言えます。
常滑急須には大きく分けて、「轆轤(ろくろ)」と「鋳込み」の急須があります。轆轤で作る急須は、"陶芸"と聞いて一般的にイメージする、土の塊を丸い台に置いて回転させながら形を整えていく作り方です。
フタ、胴体、持ち手、口の部分、全て円柱状の形をしています。
これは全てのパーツが轆轤で作られていることを意味しています。
鋳込みの急須は、泥漿(でいしょう)と言われる柔らかい土を型に流し込み、石膏に水分を吸われて固くなった土が内側に残ります。
この残った部分が急須になります。
常滑急須には、お湯を口切り満タンに淹れても口からお湯が出てこない設計にする。というルールがあります。
これは鋳込みでも轆轤でも比較的安価な大量生産品の急須でも同じです。
また、蓋の密着性が高いのも常滑急須の特徴の一つです。別々に成形した蓋と胴体を素焼きした後に研磨剤で擦り合わせて密着性を高めます。
こうすることで、湯飲みにお茶を注ぐ時に蓋と胴体の隙間からお茶が溢れません。
蓋の穴を指で抑えると注ごうとしても、口からお湯が出てきません。
常滑急須は、使っていて煩わしさが全くない、精度の高い道具であることに気が付きます。
蒸した生葉を揉みながら乾燥させる日本茶の製造工程において、表面に出てくる水分と、乾く水分が同じ状態(恒率乾燥)をキープしながら製茶していくと、葉の表面は甘く、内側に向かって苦渋みが強くなっていきます。
味が階層構造になっているため、煎を重ねる毎に味が変わっていくのです。
茶葉に触れるお湯の温度と茶葉が開く速度を均一にして、3煎目以降の湯温を高い状態でキープしながら淹れる。
これが階層構造になっているお茶の味を最大限楽しむ方法だと思います。
この淹れ方はやはり急須じゃないと難しい。
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