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「ご縁」

「今の仕事を選んだ理由」の続きとして、この「引き受けたからには」を綴ってみようと思う。

このタイトルを選んだ理由は、最初から大変だったことや、コロナ禍の中での判断に苦悩したこと、暴走する部下とのコミュニケーションなど、様々な局面にぶち当たらながらも引き受けたからには責任を持って、立て直し、成果を出すことが私の役目であると強く思っていたからである。

しかし、今、コロナ禍が落ち着き、急激に観光事業が復活する中で、今の組織に求められることや期待されることの認識に、自分とスタッフとの間に大きな隔たりがあることに気づいた。

経営することの難しさを改めて感じている。そんなことを考えながら、それでも引き受けたからには、時間をかけてでも、軌道修正していくしかない。
それが私の役目だから。

[今から5年半前]
2018年4月、4度目の転職。職場は、とある観光協会。その2日前に、東京都内唯一の地域DMO法人(観光地域づくり法人)に登録されたばかりで、理事長としてその舵取りをすることになった。

これまで観光やツーリズムに直接、仕事として関わったことはない。たかだか4年、理事としてご協力したり、ご意見を言ったりしただけ。そんな私に何ができるのか。

旅行好きの私はこれまで国内ではプライベートや仕事で、全国を飛び回っていた。仕事で出かけては隙間時間を見つけては周辺をまわったものである。残念ながら宮崎県と山口県にはこれまで機会がなかったが。あくまでも旅行者として楽しんだだけ。
観光を事業と捉えると、その時の自分には知識不足、人脈不足であることを認識した。そして、これから新たな学びと公私共にネットワークを広げるチャンスが生まれたと、少しワクワクしていた。何を勉強するのかは、これから会う人たちによって、気付かされるだろう。

そして、私に課せられたミッションは、2020東京オリンピック・パラリンピック後のレガシーを作ることと財政・組織の立て直しだった。

レガシー、それは直訳すると「遺産」「形見」となるが、日本では、「過去から引き継いだもの」や「未来へ引き継いでいくもの」として使われる。特に、東京オリンピック・パラリンピックにおいては。

東京オリンピック・パラリンピックでの取り組みを未来につなぐ。観光視点で何ができるか。

財政の立て直しとはいえ、どれほどの状況なのか。その時点で確認できたのは2016年度の事業報告書と決算書だけ。単年決算の資料からは、詳しい財務状況や複数年の決算状況が読み取れない。当時の理事長からは、「厳しいが、みんなで応援するからお願いしたい」と言われ、人に頼まれると断れない私の性格を分かった上で頼んでいることがわかる。

これまで、クレジットカード会社の支店長、ケーブルテレビ会社の局長や社長の経験はあるものの、簿記3級くらいの財務諸表の知識しかない私で改善はできるのか。どのくらいまずい状況にあるのか。実際にいってみなければわからないが、やるしかないなとの思いだった。

悩みながらも、これも「ご縁」。地域と関わる仕事がしたいと、前職のケーブルテレビ会社に転職して11年。このエリアで5年、仕事をさせていただき、たくさんのご縁をもらった。
その成果としての「観光協会理事長」の仕事であれば、誇らしいことなのかもしれない。

実際、前職でこの街を離れるとき、一番に送別会を開いてくださったのは町会の方々だった。そして、戻ってくるとなった時に最初に歓迎会を開いてくれたのも町会の方々で、また一緒に行事やいろんなことを楽しめることを喜んでいただいた。行政や企業など様々な方々とのお付き合いもあり、みなさん歓迎してくださったが、何よりこれから観光を通じたまちづくりをしようとしている私にとっては大きな味方がいると思うと心強かった。

そんな状況で、2018年4月1日、観光協会の扉を開けた初日、いきなり衝撃な事実を知らされる。

今回はここまで。これから財務改善に取り組んでいく。


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