#65 「君の背中に見た夢は」感想とお受験的考察
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当然ですが、書評なんて烏滸がましく、あくまで読書感想文です。外山薫先生の作品に泥を塗らないように気をつけつつ、取材を受けた一人として、拝読した感動を忘れないうちに綴らせて頂きたく筆を取りました。プロに比べての拙文、恥ずかしい限りですが何卒ご容赦下さい。
※なお、本noteの内容については、外山薫先生にご承認を頂いております。
■感想
・なぜ小学校受験が舞台なのか
まず初めにお伝えしたいのは、お受験層の皆さまが危惧されているような、お子様を過度に追い詰めるなどの胸をえぐられる描写は殆どありません。
狼侍が発信したお受験文学の方がよほど辛いです(ごめんなさい)。
本作の題材は小学校受験ですが、実のところは、現代を象徴する東京の共働き家庭を舞台に、主人公である母親(いわゆるワーママ)の日常の苦悩や葛藤、自分を見つめ直す姿が描かれています。
家庭や子育てを見直す小学校受験の特性を舞台装置として取り入れることで、それらを分かりやすく浮き彫りにする絶妙な設定に思えました。
つまり、お受験層は心配せずに共感を求めて、共働き層は自分探しに向けて、それ以外の層は現代の共働きの子育ての大変さを理解するためにお読み頂ける、全方位のテーマ(物語)なのだと思います。
・小学校受験の入門書でもある
2022年12月に初めての取材を受けた際、外山先生は冒頭に、「今回はオムニバスじゃなくて、一つの物語を丁寧に書きたいんです。」と仰いました。
ただえさえ偏見の多い私立小学校、小学校受験の世界ですから、Xでのタワマンのように、少々面白おかしく揶揄するようなコンセプトであれば、私自身はお手伝いを辞退するつもりでした(これはご本人にもお伝えしました)。
しかし、詳しくは後述しますが、もともと抱いていた印象と、そのようなお言葉も含めて、ご協力することを決めました(その頃は、外山先生の小学校受験の解像度もまだ低く、正直ちょっとハラハラしてましたが)。
そして仕上がったのがこの物語です。
あれからの取材の労力が目に浮かびます。2023年9月に再び取材を受けた際には、物語は詰めの段階のようで、小学校受験への解像度はものすごい精度で上がってました。相当な取材を重ねたことは容易に想像できました。
恐らく、Xなどで小学校受験界隈に触れる中で、外山先生の嗅覚が、その受験の本質ある「家族の姿」を感じたのでしょう。だからこそ、第二作の題材として選ばれたのだと思います。
受験の対策や努力の描写もさることながら、小学校受験で得られる家族を見つめ直す機会を見事に描かれています。
家族の物語として秀逸なのは言うまでもなく、これから小学校受験を考える層にも入門編として是非お読み頂きたい物語です。
便乘して恐縮ですが、本作とともに、弊noteをお読み頂ければ、作品の内容の深掘りと、小学校受験の解像度はさらに上がるかと思います。
・おまけ(狼侍登場!)
「狼侍さんのお名前も出させてもらってます!」とお話を頂き、取材協力的に記載頂くのかと思っていたら、まさかの物語中でのノンフィクションでの登場でした。
しかも主人公でなく、重鎮からのご紹介で、会話の流れどころか物語として自然な登場をさせて頂きました。小学校受験の入門書として残るであろう本作に刻まれた名前ですから、後年に検索されても恥ずかしくないよう、今後も精進したいと思います。
この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。
以下は、多少のネタバレやお受験の学びも含まれるため、メンバーシップ限定とさせて頂きます。ご容赦下さい。
■お受験的考察(多少のネタバレ含む)
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