バトルシップ

 さて本日はユニバーサル映画100周年記念作品「バトルシップ」について書いてみたいと思います。これ公開時、そんなに観るつもりはなかったんですが、ちょっと絶賛の声がちらほら聞こえてきたので、こりゃ観なきゃ駄目だな、と思い直してやっぱり映画館に観に行きました。

 なぜ観るつもりがなかったというと、製作中からなんか不評の声があがってたり、ジェイムズ・キャメロン監督が批判していたり、この作品が「海戦ゲーム」の映画化だということを知って、なんじゃそりゃ、と思ったりしていたからで、観てもいないのに壮大な馬鹿映画だろうとタカをくくって劇場まで行くこともないかみたいな感じでいたのです。

 ところが実際観てみると、まあ導入部分はコメディタッチでちょっと不安にもなりましたが、侵略が開始されてからは実に良く出来たSF映画で、アクションも迫力あるし、何より圧倒的不利な状況から大逆転するという、私の大好きなパターンのスカッとする映画で、大変満足しました。

 まず主人公のホッパー(テイラー・キッチュ)が職を失って馬鹿なことばっかりやってる奴で、女性をナンパしようとしてなぜか警察の厄介になったり、あまりの不甲斐なさに見かねて兄貴が海軍に入れて性根を叩き直そうとします。ちなみにここに出てくる女性がセクシー要員でチョイ役の人かなと思ったらメインヒロインだったのがちょっと面白かったです。

 しかし相変わらず式典に遅刻したり日米合同演習中に日本人と喧嘩したり(浅野忠信さんです)、ちっとも性根が叩き直らないので演習後解任だ、みたいな流れになってしまいます。その演習中になんとエイリアンが攻めてくるという物語でございます。

 なんだかんだでエイリアンの飛行物体は海上に落下するのですが、あたりをバリヤみたいな力場で覆い、母艦から三機の戦闘艦を出し、ちょうど演習中の駆逐艦も三隻が力場に取り込まれていたものですから、三対三の構図になるわけです。あーここでいきなりゲームっぽくなるのかなと思ったらそうではありません。異星人の戦闘艦はいきなりこちらの駆逐艦二隻を沈めてしまい圧倒的な力を見せつけます。こんなもん絶対勝てないよという印象をここで持つためにこの後の展開が非常にスリリングかつエキサイティングになるわけです。

 私がこの映画で感心したのは、ゲームをちゃんと再現しているということです。ゲームの映画化というと、例えば役者さんにコスプレさせてみただけの、表面的にゲームをなぞったものか、全く別物にアレンジしたものかのどちらかになりがちなところを、この映画は海戦ゲームの本質的な部分をちゃんと映像化しています。つまりゲーム的シチュエーションを再現しているのです。例えば敵の艦がレーダーに映らないのですが、じゃあ海面に漂っているブイの水位線を無線で傍受してそれが変化したらそこにいるんだ、と推測して攻撃しようと作戦を立てるわけです。ブイのデータをモニタに呼び出すとまるで格子状に仕切られた盤上を敵が移動してくるようで、次にどこに移動するかを推測して攻撃を指示します。そんな感じで無理なく現実の戦いで海戦ゲームを再現していて、観ていてニヤニヤしてしまいました。

 もちろん突っ込みどころも無いわけじゃないんですけど、許容範囲内というか、そこは観客がどうにでも解釈すればいいかと思えるように作ってあって、それよりもクライマックスのカタルシスが凄いので文句を言う気にもなれません。戦いがどんどんアナログになっていったり、とにかく燃えるんですよ。というか、圧倒的に不利な状況を手持ちの戦力でいかに切り抜けるかという面白さを描いているので、決して馬鹿にできない映画だなと思ったりします。

 そんなわけで観る前にちょっと馬鹿にしていて下手したら劇場で観ずにすませていた可能性があったのですが、観て良かったと思えたというお話でした。やっぱり映画って観てみないと分からないもんですね。でもこれの予告って今観ても全然面白そうに見えませんよ、と言い訳しつつ、それではこの辺で。

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