バーバレラ

 全く唐突にですが昔のSF映画について書きたくなったので書くことにします。SFと言っていいのかちょっと自信がありませんが「バーバレラ」でございます。言わずと知れたジェーン・フォンダ主演、ロジェ・ヴァディム監督の、名作と言うより熱狂的なファンを持ち、様々なカルチャーに影響を与えた記念碑的作品と言うべきでしょうか。が、映画的完成度を求めて観たらちょっと首を傾げる人も多いかもしれません。いわゆるカルト・ムービーというところでしょうか。

 この映画よく月曜ロードショーでやっていたので子供の頃から何度も観ていました。それ以外にもお昼に放送していたこともあったと思います。凄いですね。とてもお昼にやっていいとは思えない映画なんですが。ストーリーは単純で、ジェーン演じるバーバレラに地球の大統領から指令が下り、何かの兵器を持って行方不明になった科学者デュラン・デュランを追えというだけのものです。イギリスのロックバンドのデュラン・デュランはここから名前をとったのですね。それはいいとして、バーバレラは宇宙船で目的の星へ向かい、航行中磁気嵐に巻き込まれて不時着してしまいます。そこからなんだかんだあって地下の都みたいなところで大騒ぎしながら科学者を捜してるんだか捕まったり逃げたりしてるうちにスペクタクルのうちに幕を閉じる映画で、真面目に筋を追うと言うよりも、ジェーンの美しさとかファッションの奇抜さとか安っぽい美術とか素晴らしい音楽に身を委ねて夢の世界を味わう類いの映画でしょう。

 とにかくオープニングで主題歌に乗ってバーバレラが宇宙服を脱いでいくところから本当に何と説明すればいいんでしょう、洒落ているというか人を食っているというか、大真面目にバカなことをやっているのに、サービス精神は旺盛なので観ていて心が豊かになってきます。映画を観ているなーという感じです。そしてこれはジェーンの旦那さんでもあるロジェ・ヴァディム監督の嫁自慢映画でもあります。嫁自慢監督というのは世界にたくさんいますがヴァディム監督が恐らくその筆頭でしょう。ブリジット・バルドーと結婚していたときもさんざん嫁自慢映画を撮っていました。

 お話は本当に行き当たりばったりなんですが、全体的にコメディタッチなので許せてしまいます。そう考えると意外に周到な計算の上で作られている気もしてきました。盛り上がっているのかどうか分からないけど音楽で強引に盛り上げている感もなきにしもあらずなんですが、その音楽が本当に素晴らしいのでこれでいいやと思ってしまいます。有翼人パイガーにつかまって空中戦を行うところと映画終盤のスペクタクルシーンの音楽が本当に素晴らしいので全部オッケーです。こういう映画を観ると歴史を超える映画というのは完成度とかでなく、どこまでとんがってるかの方が重要なんだなーとつくづく思います。何度もリメイク企画が持ち上がっていますが、頓挫するのがよく分かります。こんなのリメイクできるわけありません。

 プロデューサーはディノ・デ・ラウレンティスさんで、多くの大作を手がけている方なんですが、忘れた頃にまた時代錯誤にチープな世界観を押し出したSFアドベンチャーの「フラッシュ・ゴードン」を作ったりしましたが、こちらの方は何がどう違うのかよく分からないのですがあまり評判は良くなくて(それでもクイーンの主題歌だけは好評)、意図的なチープさというのを当てるのは非常に難しいのだなあと思いました。でも私は「フラッシュ・ゴードン」の方も好きですが。

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