テキサスの五人の仲間

 結構前にBS-NHKでやっていたので録画しておいたのを観ました「テキサスの五人の仲間」について急に書きたくなりました。これは内容についての感想を言うといろいろネタバレになってしまい、ネタバレしてしまうと面白さを損なってしまう(これもすでにネタバレ)のでちょっと書きにくいのですが、何とかやってみようと思います。この時代の映画にそんな配慮は無用のような気もしますが意外に観られていないのでこれから観る人のために、やはり。

 西部劇なんですが、ある町で年に一度のポーカーの大勝負が行われます。五人の大金持ちが集まって凄い掛け金が動くので酒場の客たちも勝負の内容が気になってしょうがないほどです。そこに旅の家族が立ち寄りまして、ヘンリー・フォンダさんとジョアン・ウッドワードさんとあと男の子の一家なんですが、とある町の土地を買って農園を始めようとしているのに、フォンダが大のポーカー狂で、その大勝負を聞きつけて、参加してしまいます。案の定負け続け、しまいには発作を起こして倒れてしまい、勝負はポーカーのことを何も知らない奥さんが引き継ぐことになるのでした……。

 というあらすじ以上のことは書けません。これで面白そうだと思ったらすぐに観てください。ここから後の文章も読んではいけません。もちろんいろいろ仕掛けがある映画なんですが、それよりもじっくりストーリーを展開させて、観客の気持ちを惹き付けていくストーリー展開が巧みです。そうなっちゃ駄目だぞ、と思った方向に行ってヤキモキさせて、その感情すら最後にひっくり返すと言いますか、どんなに意外な展開になっても人ごとだったらそんなに驚かないところですが、こちらが感情移入していたことをひっくり返されたら凄いびっくりしますよね。そのメカニズムを熟知した人が脚本を書いているようです。

 さらに凄いのはこれ、ポーカーを題材にしたギャンブル映画だというのに、ポーカーの手とかくどくど説明しませんし、カードを映すことすらほとんどしません。だから全くポーカーを知らない人でも楽しめると思います。必要な知識は掛け金が底をついたらゲームを続けることはできないということだけです。それでいてポーカーの本質である「どんな手であろうと勝つことが可能なギャンブル」という一種特殊な面を描くことに成功しています。

 もうこれ以上は書けませんが、もう一言だけ言うなら、これ邦題をつけた人は天才だなということです。原題と全く違うのですが、これだけでミスリードと結末の後のああそうだったのか感を作品に加味することに成功しています。まあ、主張が強すぎると言うか勝手にそういう要素を加味していいのかということは思わなくもないですが。

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