ステルス

 本日は近未来戦闘機アクション超大作「ステルス」の感想を書いてみたいと思います。と仰々しく形容しましたが、もちろん真に受けてはいけません。ちょっといろいろツッコミどころの多すぎる映画なので、その辺を注意して観ないと痛い目に会う映画なのです。

 監督はロブ・コーエンさんで、私はその前に観ていた「ワイルド・スピード」が気に入っていたので、ちょっと期待してました。予告もよく出来ていましたし。最新鋭のステルス戦闘機の訓練シーンから映画は始まり、三人のパイロットを紹介しつつ、凄まじいアクションが展開されます。ステルスの飛ぶスピード感はもちろん、めまぐるしいカメラワークにノリノリの音楽、そして尋常でない火薬量の爆発、とオープニングだけで私がこの映画に期待していたものが全部観れました。だからそれだけで、もう料金分は楽しめたと思います。

 で、実を言うと冒頭のアクションシーンが一番の出来なのです。その後のミッションで、ミサイルの威力を増すために成層圏まで上昇して急下降して発射するとか、ちょこちょこと面白い見せ場はありますが、いかんせん単発な感じがします。まあそれでも期待しつつ見続けていくと、いよいよコンピューター制御のステルス機が登場です。と、それと前後してなぜかパイロット達の休暇が描かれ、ジェシカ・ビールの水着姿というサービスショットまで飛び出します。いや嬉しいのですが、全く必然性がありません。脚本に無かったのに監督が強引に入れたのかと勘ぐってしまいました。

 それはそれとしてストーリーは予告でも明かされていましたが、コンピューター制御のステルス(エディという名前です)が落雷を受けて狂い出し、自らの意志で動き始めてしまうという、まあ言ってしまえばよくあるパターンのパニックSFです。映画の中のロボとかコンピューターと言えばまあ反乱するのが定番なので仕方ありません。

 しかし、そのエディをみんなで何とかしようとしているうちに、仲間が死んだりとかいろいろあったと思うのですが、確かプログラムをいじってエディは直ってしまうのです(確かそうだったと思います。この辺うろ覚え)。え? じゃあそれからどうなるの? と思ったら、映画はミッションの途中で撃墜され、脱出して北朝鮮で消息を絶ったジェシカ・ビールの救出劇へと様変わりします。

 なんだか変な展開です。予告を観た限りでは人類の敵になったステルス機を倒せるか? みたいな映画だと思ったのに、それは途中で解決してしまうのです。前半と後半で別の映画みたいです。後半はエディに主人公が強引に乗り込んで、ジェシカを助けに行きます。この辺のやりとりが往年の海外テレビドラマ「ナイトライダー」みたいで面白かったです。

 ひょっとしたらまた監督がパニックSFだった脚本を、「今さらコンピューターの反乱とかつまらんから北朝鮮と戦おうぜ」と強引に変えてしまったのかと勘ぐってしまいます。変な映画なのですが、前半も後半もそれなりに面白いのです。ただこれは別々の映画として2本にしてもらった方が良かったような気もします。と言うのも見せ場的には最後の戦いなど、人間の兵士達対ステルスというような、ちょっと映画のコンセプトからすると無理があるような対決で、オープニングのあのスピード感はどこへ……、と感じてしまいました。

 しかし、そういったことが気にならなければ、観ているときだけ楽しめる娯楽映画として、悪くはない出来だと思います。ただこれ「ステルス」という題名だけどステルス機である必然性ないよな……、ということだけはどうしても気になりますが。

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