ダークシティ

 多分私の観たSF映画の中でもかなり面白い部類に入る映画、というか一、二を争うくらい好きな映画なんじゃないかなと思えるのが、「ダークシティ」です。当時ひっそりと公開されたのですが、「クロウ/飛翔伝説」のアレックス・プロヤス監督と聞いたのですぐに劇場に行きました。最高でした。何度も観に行ったのですが、いつも劇場はガラガラでした。一週間くらいで上映は終わったでしょうかね……。

 昼の訪れない街「ダークシティ」。そこで目覚めた記憶のない男。いきなり電話がかかってきて「早く逃げろ」と告げられ、不気味な男達に追われながら、彼は自分が何者か、何に追われているのか、そしてダークシティの謎を突き止めようとするのでした。

 よく映像の凄さで語られる映画ですが、もちろん私もこの映画の映像は好きですが、それ以上にストーリーに惹かれます。というのも、もの凄く大風呂敷を広げておいて、それをちゃんとたたんでいるのです。なかなかこんなのありません。しかも単に設定に凝ったSF映画というだけでなく、絶体絶命の危機から大逆転するクライマックスや、ラストの対決など映画的カタルシスに満ちていて、決して頭でっかちのアート指向映画ではないところが素晴らしいです。こんなに燃える展開はありません。

 中盤のシェルビーチの謎とか、よく考えてありますし、ダークシティの正体なども、観ていて「そこまで明らかにされないだろうなあ」と半ばあきらめていたこともちゃんと解明され(しかも説明台詞でなく、目で見て分かるように)、SFとして筋が通っています。そして明かされる真実がとてつもなく切ないのです。そしてその真実を知った主人公が最後にとった行動も無理がありません。これは本当によく練られた脚本だと思います。

 この映画を何度も観て、私は板橋しゅうほうさんの漫画「アイ・シティ」の影響がかなりあるんじゃないかなと思いました。似たようなシーンが随所にあったり、ネーミングにも共通したものを感じましたね。これ自体そこまでメジャーな作品ではありませんが、この映画ももうちょっとメジャーになってもいいんじゃないかなと思います。とにかく面白い映画ですので、観ていない人には今すぐ観て下さいと素直にお薦めしておきます。

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