ノロイ

 劇場で公開している時は全く気にならなかった和製ホラー「ノロイ」という映画について今日は書いてみたいと思います。これはDVDで観ました。公開してDVDが発売されてすぐくらいでしたかね。私、この映画を少し舐めてました。友達に勧められたから、あまり期待するでもなく観たらもの凄く面白かったのです。物語は心霊研究家というかジャーナリストの男の人(例によって名前失念)を追ったドキュメンタリーの形を取っていますが、始まって3分でフェイクだと分かります。この辺りも私の舐めた気持ちに拍車をかけたと思います。フェイクとバレバレながら、何とも丁寧に日本のバラエティや芸能界の心霊現象に対する扱い方をリアルに再現して、どんどんと説得力が出て来るのです。この監督さんはメディアをよく分かっているなあと感心しました。出演者の松本まりかさんもさりげない演技がかなり達者です。この映画で名前を覚えておこうと思いました。

 ジャーナリストさんは「かぐたば」という謎の言葉を追い、どこかの地方の伝説を追ったり、霊能者とコンタクトしたり(ここで出て来る日本最強の霊能者が傑作です)、心霊番組特有のいかがわしさを漂わせながら、「ブレアウィッチ・プロジェクト」ばりの恐ろしいクライマックスへと突入していきます。ところどころCGの出来がイマイチなため、大変惜しいのですが、それでも画面から目が離せません。そしてついにこのジャーナリストは謎の子供を発見するのです。身寄りのないその子供をなぜかそのジャーナリストは引き取ります。その説明を字幕だけで済ませるのですが、この辺から説明不能の恐怖が漂ってきます。そして映画は壮絶なクライマックスの末、唐突に終わります。まあドキュメンタリーの体でやってますから、大体予想はつくと思いますが。

 しかしこの後半は本当に恐いのです。私はまんまとハメられてしまいました。作り手の計算通りなのですが、あれよあれよという間に映画の中に取り込まれた感じです。この監督さんはよほど腕があるのか、この題材が得意なのか、全くの偶然なのか、まるで分かりません。というのもこの映画がかなり特殊なスタイルで作られているからです。フェイクだとバレバレとは言え、欲を言えば途中に出て来る役者さんたちも、もっと素人っぽい演技を徹底させて欲しかったということくらいでしょうか。ちゃんと謎に対しても一応の答えを用意していますし、これは拾い物のホラーだと思いました。その後、監督の白石晃士さんは日本ホラー映画界では有名な方と知り、何本か観ましたが、最初に観たせいか私はこれが一番好きですかね。かなり笑えるところもありますので、テレビの心霊番組とかお好きだった方はどうぞ。

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