マッドマックス 怒りのデス・ロード

 本日はみんな大好き「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の感想を書きたいと思います。もちろんジョージ・ミラー監督のマッドマックスシリーズの27年ぶりの新作で、これのニュースが流れた時は、大丈夫か? あの名作のテンション保てるのか? というかサンダードームの時すらちょっとヤバくなかったか? と思ったものです。さらに邦題が「怒りのデス・ロード」ですから、もちろんダサいのですが、これをあえてやることで往年のドB級映画の魂持ってますよというアピールなんでしょうが、本編が面白くないとかなり寒いことになってしまいますので、これは賭けに出たなと、あるいは配給会社が本編の面白さに相当自信があるのだなと思いました。

 公開日にもちろん映画館に観に行ったのですが、最高でした。大丈夫かなんて少しでも疑ってしまってご免なさい。もう一つの不安要素であったマックス役がメル・ギブソンからトム・ハーディに変更になった点も、まあ現在のメルでそもそも大丈夫かということもありますが、今回のストーリーに関してはトムが凄く合っていたような気がします。というのもこの映画、ぶっちゃけシャーリーズ・セロン扮するフュリオサが主役で、マックスはそれをサポートするようなポジションです。だから昔と同じメルが帰ってきたぜ! みたいなノリだったらオールドファンは「出番少ないやんけ!」という不満を持ってしまったでしょう。

 お話が凄く単純でイモータン・ジョーという水を独占している男が支配する街で、フュリオサが裏切って彼の妻たちを連れて逃げる。というもので、まあ単純と言ってもフェリオサの求めるものが実際はどこにあるのか、というパラダイムシフトが途中にあるので、お話も面白いと私は思いました。なんか教訓めいたものを感じて自分の人生を省みたりもしたほどです。そしてもちろんアクションが凄いのです。もう今更CGで何でもできるからアクションが凄いなんて驚くことないだろうと思っていたらCGを極力廃すことでやっぱり凄いアクションを作ってしまうんですから、ミラーさんは常人ではありません。それでいて画面が凄く見やすいことにも気づきます。カメラを揺らしたりやたらカットのつなぎを早くしたりということをせず、オールドスタイルと言ってもいい撮影スタイルで撮っています。ようするに実際に爆発したり車がクラッシュする様をなるべく人間を入れ込んで迫力ある画角でそのまま撮っているということです。これが一番いいという確信を持ってやっている感じがして、変な言い方ですが安心して観られます。

 もう一つ感心したのはここまでバイオレンスに満ちた映画なのに、全体に茶目っ気が感じられるというか、変に殺伐としていたりグロい描写をあからさまに見せつけるようなことはせず、チャーミングな見た目になっていることです。それでいてヌルくは感じられないのですから不思議です。細かい設定、例えばウォーボーイズがスプレーを口に吹き掛けたりとか、ちょっとしか出ないキャラクターもいろいろコスチュームに凝っていたりとか、観客が「これ好き」と思えるものが満載で、こういうセンスは歳を取っても最先端なんだなあと思いました。私が一番好きなのはずっとギター弾いてる男で、そのギターから火を吹き出したときはもうどうしようかと思いました。さらに戦いも後半になってくるとマックスがそのギター男のステージに乗ってきて戦ったりと、いきなり舞台っぽくなって本当にオモロイこと考えるなあと思ったものです。

 そんなわけで、本当はまだまだ書ききれないくらい好きなところがあるんですけど、そんなこと書いたり読んだりする時間があるなら、もう一回この映画観た方がいいと断言できる映画なので、これはもう定期的に観ましょう。面白いとか面白くないとかって、理屈じゃないんだということを思い出させてくれる映画でした。ジョージ・ミラーさん、いい映画をありがとうございます。

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